モノクローナル抗体、細胞毒性薬剤、適切なリンカーという3つの成分が関与する抗体薬物複合体(ADC)分子の複雑さが、バイオシミラー開発における課題であることは間違いない。新規およびバイオシミラーを問わず、すべての生体分子開発と同様に、品質属性を調べるために直交する分析技術を選択することが重要であり、特に高次構造(HOS)研究や凝集体の可能性を調査することが重要である。
論文では、ADCの構造特性とバイオシミラー性(biosimilarity)の実証について、特に以下の点を検討すべきとしている。①薬物/抗体比(DAR)、②薬剤の付着部位の特定、③薬剤の代わりの反応副産物(reaction by-products attached in place of the drug)、④ADC 上にフリーリンカーが存在するかどうか。さらに論文では、それらの具体的な検査方法について議論している。特に、ADCを製造するために使用される化学的プロセスは、mAbの構造破壊の結果として凝集を促進する可能性があり、これを調査する必要があることも述べている。先行医薬品においてADCの開発が活性化しており、それらの特許切れ後にはバイオシミラー開発が必要になる。ADCバイオシミラー開発における論点を示しており、将来のADCバイオシミラー開発指針議論の参考になる論文である。
ニュースソース
Richard L Easton, BSC (Hons), DIC, PhD:Biosimilar antibody drug conjugates: considerations of higher order structure and aggregation
Generics and Biosimilars Initiative Journal (GaBI Journal). 2023;12(3):108-12
DOI: 10.5639/gabij.2023.1203.018
Biosimilar antibody drug conjugates: considerations of higher order structure and aggregation
キーワード
#バイオシミラー開発
#ADC