モノクローナル抗体(mAbs)のバイオシミラーを東アジア地域で規制要件を満たすためには、薬物動態(PK)についてのブリッジング試験で人種感受性を評価することが求められる。しかし、mAbsは低分子医薬品とは異なり、肝臓や腸での代謝のような伝統的な薬物関連代謝を受けないため、人種による影響を受けにくい特性を示す。現在の文献によれば、ほとんどのmAbsのPK、薬力学(PD)、安全性、有効性に人種差は一般的に影響しない。例えば、ほとんどのmAbsの推奨用量は、非日本人患者と日本人患者の間で類似しているか、差がない。このような知見があるにもかかわらず、日本、韓国、中国、台湾などの東アジアの国や地域では、承認のために専用の人種感受性試験(Ethnic Sensitivity Studies :ESS)が依然として日常的に要求されている。この論文では、人種差要件は、mAbsのバイオシミラー開発における義務ではなく、参照薬(reference drug)に関する利用可能なデータに基づいて再考されるべきであると主張している。ESSは疑わしいだけでなく、バイオシミラーmAbsにとってはコストと時間がかかる。このような要件を撤廃すれば、安全性と有効性の基準を維持しながらバイオシミラー医薬品の開発を加速することができるとしている(以上は、論文の著者抄録に基づく)。
論文では、日本、韓国、中国、台湾、インドの各地域でのバイオシミラー開発における臨床試験の要件を示し、各国でのいくつかのmAbsについての人種感受性に関する論文のレビューを行い、人種差の存在にエビデンスが損座していないことを示している。日本におけるバイオシミラー開発(輸入)促進において人種感受性試験を廃止する議論の根拠となりうる。
ニュースソース
Sandeep N Athalye, MBBS, MD; Dev B Baruah, MPharm; Shivani Mittra, MPharm, PhD; Ankit Ranpura, MD; Kuldeep Kumar, PhD; Elena Wolff-Holz, MD:
Ethnic sensitivity assessments in biosimilar monoclonal antibodies clinical development programmes: necessary or not?
Generics and Biosimilars Initiative Journal (GaBI Journal). 2023;12(2):61-6.
DOI: 10.5639/gabij.2023.1202.011
キーワード
#バイオシミラー開発
#人種感受性