初のアイリーアBSが国内承認へーBSは原薬製造場所を明らかにすべき

2024年4月26日、薬事審議会医薬品第一部会において眼科用VEGF阻害剤「アイリーア」(イエル薬品/参天製薬)の初のバイオシミラー承認について報告がなされた。承認申請企業は、グローバルレギュラトリーパートナーズ。製品名は「アフリベルセプトBS硝子体内注射液40mg/mL『GRP』」。
効能・効果は、先行品の6つのうち、以下の3つのみで、先行品で汎用されている「中心窩下脈絡膜新生血管を伴う加齢黄斑変性(AMD)」は、「特許を勘案して申請後に取り下げたため」とされており、再審査期間が残る「血管新生緑内障」と「未熟児網膜症」の効能・効果もない。
〇網膜静脈閉塞症に伴う黄斑浮腫
〇病的近視における脈絡膜新生血管
〇糖尿病黄斑浮腫

グローバルレギュラトリーパートナーズ社は、薬事規制、治験、品質及び安全性に関するコンサルティングを幅広く提供する米国企業。2016年10月、日本において現地法人を開設し、2017年6月、日本法人のグローバルレギュラトリーパートナーズ合同会社は、第一種医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業者(MAH)の資格を取得した1)。
今回報告となった製品の原薬がどこで製造されたものか明らかとなっていない。またPMDAの審査報告書も公開されていない。
世界的には、欧州(EMA)においてインドのBiocon社のバイオシミラー部門であるBiocon Biologics社製のアフリベルセプトBSが承認されており、AMDにも使用できる(商品名:Yesafili,イエサフィリ)。
また、Formycon、Celltrion、Samsung Bioepisもアフリベルセプトバイオシミラーを開発中である2)3)。

インド製バイオシミラーは、過去に日本において供給不足を起こしている。GRP製品はインド製かどうかは不明であり、供給不足リスクがあるといえるわけでもない。一方、今年(2024年)初めに薬価削除した第一三共のトラスツズマブBSは、異なる規格の製剤がそれぞれ異なる企業で製造されていた。製造場所の違いが薬価削除の直接の原因かどうかを企業は明らかにしていない。しかしながら、製造場所がバイオシミラー安定供給のリスク要因となる可能性は高い。医療関係者の安定供給への不安を軽減するために、原薬の製造場所(製造企業)情報を明らかにすべきである。

ニュースソース
1. JETRO: 米国のGlobal Regulatory Partnersが、日本で製品登録を行う外国の製薬企業及び医療機器企業を支援するため、東京に日本法人を設立
https://www.jetro.go.jp/invest/newsroom/2017/4cf9b33236a3de10.html

2. AJMC Center for Biosmilars: European Commission Approves First Aflibercept Biosimilar. September 21, 2023
https://www.centerforbiosimilars.com/view/european-commission-approves-first-aflibercept-biosimilar

3. Biocon: Biocon Biologics Receives European Commission Approval for YESAFILI®, Biosimilar Aflibercept.
https://www.biocon.com/biocon-biologics-receives-european-commission-approval-for-yesafili-biosimilar-aflibercept/

キーワード
#アフリベルセプト
#バイオシミラー

2024年4月27日
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