EUにおいても、化学的に合成されたポリペプチド製剤が、生物学的起源(バイオ)製剤を参照薬として審査されている。バイオシミラーには専用の規制枠組が適用されるのに対し、合成された後続品はこのパスウェイを通じた審査の対象とはならず、第10条(1)に基づく従来のジェネリック・パスウェイ、または第10条(3)に基づくハイブリッド・パスウェイを通じた承認が必要となる。
本総説論文では、EUにおけるバイオ製剤を参照する合成ペプチドの分野における最近の動向について概説している。化学合成とバイオシミラーとで、異なる規制手続きが存在することがファーマコビジランス等にも潜在的な影響を及ぼす可能性があり、安全で高品質なジェネリック医薬品の承認を確実にするために、バイオ製剤を参照する化学合成製剤の規制手続きについて、より透明性を高めるとともに、世界的な整合性を図る必要性があるとしている。
これまでのところ、わが国では、テリパラチドについては、先発の化学合成ペプチドに対するジェネリックとして承認されている。EUでは、テリパラチドとリラグルチド、グルカゴンがバイオ製剤を参照薬として薬事承認されている。技術的には、インスリンなども化学合成が可能となっているが、わが国では、新薬としての薬事承認パスウェイしかなく、多様で安価な合成ポリペプチド承認の道が閉ざされている。
本論文の他に、合成テリパラチドジェネリックとバイオ製剤との本質的な類似性を実証した論文もあり、参考にされたい2)。
ニュースソース
1. Kevin Klein, Jens Heisterberg, Pieter Stolk: Synthetic polypeptides using a biologic as a reference medicinal product – the European landscape of regulatory approvals.
Front Med (Lausanne). 2024 Apr 12:11:1335928. doi: 10.3389/fmed.2024.1335928. eCollection 2024.
2. Jimena Fernández-Carneado, Mariona Vallès-Miret, Sílvia Arrastia-Casado, Ana Almazán-Moga, Maria J Macias , Pau Martin-Malpartida, Marta Vilaseca, Mireia Díaz-Lobo, Mayte Vazquez, Rosa M Sanahuja, Gemma Gambús, Berta Ponsati: First Generic Teriparatide: Structural and Biological Sameness to Its Reference Medicinal Product. Pharmaceutics. 2024 Apr 13;16(4):537. doi: 10.3390/pharmaceutics16040537.
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#合成ポリペプチドジェネリック