米国メディケア・メディケイド・サービスセンター(Centers for Medicare and Medicaid Services)は、鎌状赤血球症に対して承認された2つの新しい遺伝子治療薬へのアクセスが、アウトカムベースの合意によって改善されるかどうかの試験を開始する。2024年6月28日、CMSは、細胞・遺伝子治療アクセスモデルのホームページ1)と、州に対する「申請依頼書(Request for Applications for States)」2)を公開した。「製造業者に対する申請依頼書(Request for Applications from Applicable Manufacturers)」は3月に公開されている(下記に要約)3)。またFAQ(よくある質問)のページも6月28日に公開されている4)。
CMSのパイロット・プログラムは、「細胞・遺伝子治療アクセスモデル(CGTアクセスモデル:Cell and Gene Therapy Access Model)」と呼ばれ、2025年1月から2035年まで実施される。当初は、鎌状赤血球遺伝子治療薬である「Casgevy(バーテックス・ファーマシューティカルズ、CRISPRセラピューティクス、1回投与あたり220万ドル)」と「Lyfgenia(ブルーバード・バイオ、1回投与あたり310万ドル)」が対象となる。
このモデルでは、「アウトカムベースの合意(outcomes-based agreements:OBA)」と呼ばれる、特定の成果が得られなかった場合に企業がリベートを支払わなければならないという契約を締結する。さらにOBAを、各州が企業とうまく交渉し、実施できるようにすることを目的としている。CMSは、鎌状赤血球症患者の約50%から60%がメディケイドに加入しており、鎌状赤血球症の全国的な年間総費用は年間約29億8,000万ドルであると推定している。
CellGeneTherapyModel infographic
(坂巻コメント)アウトカムベースの支払い方式のわが国への導入は難しさがあるが、効果のあやふやな再生医療・遺伝子治療等を混合診療にしたり、民間保険に任せるなどの議論より、試行的取り組みとして参考にできる部分が多いと思われる。
ニュースソース
- CMS: Cell and Gene Therapy (CGT) Access Model.
https://www.cms.gov/priorities/innovation/innovation-models/cgt - CMS: Cell and Gene Therapy Access Mode- Request for Applications for States.
https://www.cms.gov/files/document/cgt-model-rfa.pdf - CMS: Cell and Gene Therapy Access Mode- Request for Applications from Applicable Manufacturers.
https://www.cms.gov/files/document/cgt-model-mfr-rfa-march-2024.pdf. - CMS: CGT Access Model Frequently Asked Questions.
https://www.cms.gov/cgt-access-model-frequently-asked-questions
キーワード
#細胞・遺伝子治療
#アウトカムベースの支払い
以下は、ChatGPT Plusによる「製造業者に対する申請依頼書」の要約。
1. 背景と一般情報
モデルの範囲: CMS(メディケア・メディケイドサービスセンター)は、細胞および遺伝子治療(CGT)アクセスモデルに関する申請を募集しています。このモデルは、成果に基づく契約(OBA)を通じて、メディケイド受益者の革新的な治療へのアクセスを改善し、健康結果を向上させ、医療費を削減することを目指しています。
法的権限: このモデルは、ソーシャルセキュリティ法第1115A条に基づき承認されています。この条項により、CMSは革新的な医療支払いおよびサービス提供モデルのテストが可能となります。
免除権限: HHS(保健福祉省)の長官は、モデルのテストを容易にするために特定の法的要件を免除することができます。
CMSスポンサーのモデル安全港: モデル内で治療を受ける受益者のための生殖能力保存サービスの財政支援が必要であり、これにより健康結果を改善し、長期的な医療利用を削減することを目指しています。
2. モデルの説明
目的と概念: 遺伝子治療は、難治性疾患に対する一回限りの治療の可能性を提供しますが、高コストと長期的な効果の不確実性が課題となっています。OBAを使用して、特定の臨床結果が達成された場合に支払いを行うことで、これらの課題に対応します。
モデルへの参加: FDA承認のSCD治療用遺伝子治療の製造業者および州のメディケイドプログラムが参加可能です。製造業者はCMSと参加契約(PA)を結び、すべての州に対して交渉済みの条件を提供する必要があります。
法的契約: CMS、製造業者、および州の間の関係は、参加契約および補足リベート契約(SRA)を通じて定義されます。
モデル設計の変更: モデルの設計は、合意された手順に基づいて毎年変更可能です。
3. 質とパフォーマンスの監視
監視: CMSは、メディケイド支出、受益者の薬物アクセス、健康結果、および手頃な価格に対するモデルの影響を監視します。データ収集が継続的な監視と評価をサポートします。
受益者保護と監督: 定期的な監視により、モデル条件の遵守が保証され、ケアの質に焦点が当てられます。参加が受益者のケアの質に悪影響を及ぼす場合、CMSは調査と対応を行う可能性があります。
4. 評価
独立した評価: 独立した契約者が、支出とケアの質に対するモデルの実施と影響を評価します。参加者は、データ収集や調査、インタビューへの参加を含む評価活動に協力する必要があります。
5. 申請
申請プロセスと選考: 製造業者は2024年5月1日までに申請を提出する必要があります。CMSは製造業者と重要な条件を交渉し、2024年11月29日までに参加契約を最終決定します。州の参加はその後に続き、2025年2月28日までに申請を提出する必要があります。