米国の商業的支払者の観点から、ナタリズマブ(NTZ:日本での先行品商品名:タイサブリ)の先行品からバイオシミラーへの処方変更による潜在的な予算影響分析を行った。
試験デザインは、再発・寛解型多発性硬化症(RRMS)治療における予算影響を、実投与量に基づいて3年間の時間軸で推定した。また、NTZバイオシミラーの価格差を変化させてシナリオ分析を行った。対象集団は、100万人の会員を持つ仮想の医療保険とした。モデルには、薬剤購入費用、治療関連費用、患者負担費用を入力した。1年目のバイオシミラー導入率を10%、3年目を20%と仮定し、1年あたりの予算影響と会員1人あたりのコスト削減を算出した。
結果は、3年間で255人の患者がRRMSに対して疾患修飾療法を受けていると推定された。NTZバイオシミラーをフォーミュラリーに組み入れると、支払者は3年間で452,611ドルの累積コストを削減することができ、1年目、2年目、3年目における1人当たりの平均削減額はそれぞれ1179ドル、1769ドル、2359ドルであった。 一元感度分析によると、予算影響の結果は、NTZの先行品およびバイオシミラー薬剤購入コストに最も影響を受けやすいことが示された。
以上から、NTZバイオシミラー採用は、米国ヘルスプランにかなりのコスト削減をもたらし、その結果、RRMS患者の治療アクセスが増加する可能性があるといえる。
(坂巻コメント:バイオシミラー採用による保険者への予算影響分析。わが国における保険者、医療機関の予算影響シミュレーションモデル構築の参考となりうる。)
ニュースソース
Edward Li (Sandoz Inc, 100 College Rd W, Princeton, NJ 08540), et al.: Budget impact analysis of biosimilar natalizumab in the US.
Am J Manag Care. 2024 Jul 1;30(7):e191-e197. doi: 10.37765/ajmc.2024.89558.
(全文は以下で閲覧可)
https://www.ajmc.com/view/budget-impact-analysis-of-biosimilar-natalizumab-in-the-us
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