(著者抄録の和訳)
背景:今後数十年間における心血管疾患と脳卒中の経済的負担を定量化することは、予防と治療のための政策、医療システム、地域レベルの介入に役立つ可能性がある。
方法:2050年までの主要な心血管危険因子(高血圧、糖尿病、高コレステロール血症)と病態(冠動脈性心疾患、脳卒中、心不全、心房細動)に起因する医療費を予測するために、全国的に代表的な保健、経済、人口統計データを用いた。心血管疾患による罹患と早期死亡による生産性の損失を推定するために人的資本アプローチが用いられた。
結果:2020年には、米国成人の3人に1人が心血管危険因子または疾患の治療を受けている。心血管危険因子のインフレ調整後(2022年米ドル)の年間医療費は、2020年から2050年の間に4,000億ドルから1,344億ドルへと3倍になると予測される。心血管疾患については、年間医療費は3930億ドルから1490億ドルへとほぼ4倍になると予測され、生産性の損失は2340億ドルから3610億ドルへと54%増加すると予測される。絶対的なコスト増加が最も大きいのは脳卒中である。アジア系アメリカ人人口(497%)とヒスパニック系アメリカ人人口(489%)の相対的増加が大きいのは、これらの人口規模の増加を反映している。
結論:米国における心血管危険因子と明らかな心血管疾患の経済的負担は、今後数十年で大幅に増加すると予測される。コストを抑制し、国民の健康を公平に増進するためには、心血管の健康を促進するための費用対効果の高いプログラムと政策の開発と展開が緊急に必要である。
(坂巻コメント:本研究の方法論は、我が国における心血管疾患の経済負担予測に応用可能である。)
ニュースソース
Dhruv S. Kazi(Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School Richard A. and Susan F. Smith Center for Outcomes Research)、et al.: Forecasting the Economic Burden of Cardiovascular Disease and Stroke in the United States Through 2050: A Presidential Advisory From the American Heart Association.
Circulation Volume 150, Number 4 https://doi.org/10.1161/CIR.0000000000001258
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