米国ノースカロライナ州におけるOTC移行後のナロキソンの入手可能性とコストについての論文。研究結果よりも、方法論が参考になる。以下は著者抄録の要約。
研究背景と目的:米国FDAは、ナロキソンの点鼻スプレー製剤「Narcan」を、2023年3月にOTC医薬品として販売することを承認した。OTCナロキソンが利用可能になった後、同州地域薬局におけるナロキソンの入手しやすさ、価格変化、それらの薬局属性、地域による違いを評価した。
研究方法:ノースカロライナ州の202の地域薬局(community pharmacies)に対する縦断的電話調査による覆面調査。薬局属性には保健所、独立系、チェーン薬局系が含まれる。2023年4月(OTCナロキソンが薬局で販売される前:「OTC前」)と2023年11月から2024年1月(OTCナロキソンが薬局で販売された後:「OTC後」)の2回に分けてデータ収集を行った。収集データは、処方箋なしでナロキソンを購入当日入手できたかどうか、現金払いの患者の自己負担額を調査した。
結果:192薬局からデータ収集した。ナロキソンの当日入手は、OTC前42.2% (81/192) から、OTC後57.8% (111/192)に増加 ( P < .001)。自己負担額平均 (SD) は、OTC前 90.93 ドル (42.6 ドル) から、OTC後は 62.67 ドル (41.0 ドル) に減少 ( P < .001)。独立薬局では、OTC前109.47ドル(37.90ドル)からOTC後86.40ドル(35.70ドル)(P < .001)に、チェーン薬局では、OTC前77.59ドル(38.90ドル)からOTC後57.74ドル(35.90ドル)(P = .004)と、独立系薬局の自己負担額が高かった。OTC前は自己負担額に都市性による差はなかったが、OTC後は郊外88.67ドル(66.80ドル)および田舎65.43ドル(35.00ドル)の薬局では、都市部の薬局53.58ドル(29.00ドル)よりも自己負担額が高かった(P = .003)。
結論:FDAによるOTCナロキソン鼻スプレーの承認は、薬局での入手可能性の向上と自己負担額削減に貢献があった。自己負担額は、チェーン薬局と比較して独立系薬局の方が高く、郊外や田舎の薬局と比較して都市部の薬局の方が低かった。
ニュースソース
Grace T. Marley(UNC Eshelman School of Pharmacy, Chapel Hill, North Carolina), et al.: Naloxone Availability and Cost After Transition to an Over-the-Counter Product.
JAMA Health Forum. 2024;5(7):e241920. doi:10.1001/jamahealthforum.2024.1920
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