【論文】炎症性腸疾患におけるアダリムマブに対する患者の嗜好

フランスで実施されたアダリムマブバイオシミラーとそのオリジネーターに対するIBD患者の満足度調査に関する論文。製品による満足度の差異にはどの程度の意味があるか。また満足度がデバイスの違いによるものなのか。企業のマーケティング調査の観点からは、満足度調査の方法論の参考になりうる。

(以下は著者抄録)
背景:現在、炎症性腸疾患(IBD)患者にはいくつかのアダリムマブ製剤が使用可能である。 満足度や忍容性の比較は不明である。

目的:本研究では、承認されたアダリムマブバイオシミラーとそのオリジネーターに対するIBD患者の満足度を調査した。

デザインと方法 この横断研究では、Groupe d’Etude Therapeutique des Affections Inflammatoires du tube Digestifに所属する45施設の連続したアダリムマブ治療を受けたIBD患者941名を対象とし、各項目を10点満点で評価した4項目からなる満足度アンケートに回答してもらった。 回答の差は、一元配置分散分析にTukeyの正直有意差検定を加えて行った。

結果:組み入れ時に最もよく使用された薬剤は、ヒュミラHumira®(436/941、46.3%)、アムジェビタ Amgevita®(177/941、18.8%)、ヒュリオHulio®(105/941、11.2%)であった。 アダリムマブの平均総合満足度は8.5(標準偏差1.8)であった。 総合満足度はヒュミラ(8.6(1.5))、ヒュリオ(8.6(1.8))、アムジェビタ(8.5(1.4))で有意に高かった(p < 0.05)。 皮下注射の形態に対する満足度は、ユフリマ®(9.0 (1.4))、ヒュミラ(8.9 (1.3))、ヒュリオ(8.9 (1.7))で高かった(p < 0.05)。 合計299例(31.8%)に注射部位反応が認められた。 また、223例(23.7%)が別のアダリムマブによる前治療歴があり、そのうち32例(223分の32、14.3%)が副作用により治療を中止したと報告した。

結論:この実臨床試験において、IBD患者のアダリムマブ治療に対する満足度は高かったが、全体的な満足度と注射器に対する満足度には若干の差があった。

 

ニュースソース

Bénédicte Caron(Department of Gastroenterology, Nancy University Hospital, Vandœuvre-lès-Nancy, France, etc.), et al.: Patient preferences for adalimumab in inflammatory bowel disease: a nationwide study from the GETAID.
Therap Adv Gastroenterol. 2024 Aug 7:17:17562848241265776.  doi: 10.1177/17562848241265776. eCollection 2024.

(全文は以下で閲覧可)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC11307357/pdf/10.1177_17562848241265776.pdf

 

キーワード
#アダリムマブ
#患者満足度

2024年8月13日
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