日本で行われた新生血管性加齢黄斑変性およびそのサブタイプに対するラニビズマブ・バイオシミラーの費用対効果分析。
バイオシミラーの「費用対効果評価」を行ったことの価値はあるが、バイオシミラーは「同等/同質」 なので、モデル分析であれば、追加的有用性は「なし(同等)」として、費用比較のみ(費用最小化分析)を行うべき。
英国で行われた「眼科領域におけるファリシマブ、アフリベルセプト、ラニビズマブバイオシミラーの費用対効果」https://www.pcubed.jp/medicine/20240813-1220/の記述の方が情報提供としての価値がある。
(以下はPubMed抄録)
はじめに:本研究では、日本における新生血管性加齢黄斑変性(nAMD)のサブタイプに対する抗血管内皮増殖因子(VEGF)療法の費用対効果を、社会的な観点から、また患者の観点から評価した。
方法: nAMD患者コホートの生涯推移を、nAMDの関与、治療状況、10進数の最高矯正視力に基づいて様々な健康状態を経てシミュレーションするマルコフモデルを開発した。 ラニビズマブバイオシミラーは、3つのサブタイプ(典型的なnAMD、ポリープ状脈絡膜血管症(PCV)、網膜血管腫性増殖(RAP))の解析において、治療レジメンにかかわらず、社会的観点からアフリベルセプトと比較された。 患者の視点からは、treat-and-extendレジメンに焦点を当てた2つの解析が行われ、1つは患者の自己負担に上限を設けたもの、もう1つは上限を設けないものであった。 いずれのnAMD患者においても、ラニビズマブバイオシミラーと、先発品のラニビズマブ、アフリベルセプト、維持療法中にアフリベルセプトをラニビズマブバイオシミラーに切り替えるローディングドーズ(アフリベルセプトからラニビズマブバイオシミラーへの切り替え)、最善の支持療法(BSC)が比較された。
結果:サブタイプ解析において、ラニビズマブバイオシミラーはアフリベルセプトと比較し、QALYsは-0.015、-0.026、-0.009、費用増分は日本円で-50,447円、-997,243円、-1,286,570円であった。 患者の視点からは、ラニビズマブバイオシミラーは、アフリベルセプト、アフリベルセプトからラニビズマブバイオシミラーへの切り替え、BSCと比較して、それぞれ0.015、0.009、0.307のQALYの増分を示した。 また、ラニビズマブバイオシミラーの自己負担限度額を除いた患者生涯の増分費用は、先発品のラニビズマブ、アフリベルセプト、アフリベルセプトからラニビズマブバイオシミラーへの切り替え、BSCと比較して、それぞれ-138,948円、-391,935円、-209,099円、-6,377,345円と推定された。
結論:ラニビズマブバイオシミラーは、検討された観点にかかわらず、nAMDのすべてのサブタイプにおいて、アフリベルセプトと比較してコスト削減の選択肢であることが示された。
ニュースソース
Yasuo Yanagi(Department of Ophthalmology and Micro-technology, Yokohama City University, Yokohama), et al.: Cost-effectiveness Analysis of Ranibizumab Biosimilar for Neovascular Age-Related Macular Degeneration and its Subtypes from the Societal and Patient Perspectives in Japan.
Ophthalmol Ther. 2024 Aug 10. doi: 10.1007/s40123-024-01011-z. Online ahead of print.
(全文は以下で閲覧可)
https://link.springer.com/article/10.1007/s40123-024-01011-z
キーワード
#ラニビズマブバイオシミラー
#費用対効果