カナダでは大半の週において非医療的切り替え( non-medical switching)が義務付けられている。(関連記事:「カナダ・マニトバ州、バイオシミラー強制移行に」(2024年08月14日 公開)https://www.pcubed.jp/medicine/20240814-1225/)本論文は、カナダ、ブリティッシュコロンビア(BC)州における炎症性腸疾患に対するインフリキシマブのバイオシミラーへの強制的の効果を検討したもの。
(以下はPubMedの抄録の抜粋)
背景と目的: 2019年、BC州で、カナダの州としては初めて、レミケードからバイオシミラーへの非医学的切り替えの義務化が開始された。本研究は、炎症性腸疾患(IBD)においてレミケードからインフリキシマブバイオシミラーへの非医学的スイッチの臨床転帰を評価する実臨床エビデンスを得ることである。
方法: BC州のIBDセンターで非医学的切り替えを受けた安定したIBD患者を対象としたレトロスペクティブ観察研究である。 主要アウトカムは、切り替え後12±2ヵ月における治療継続、副次的アウトカムは、切り替え後12ヵ月以内の奏効消失頻度、有害事象、免疫原性などである。 対照群として、先行品が継続投与されている患者を比較対象とした。
結果:バイオシミラー切り替え群(n = 264)と先行品群(n = 99)の患者人口統計学的特徴と疾患特性は類似していた。 インフリキシマブの継続は、バイオシミラー群(94.9%)と先行品群(90.1%)の間に差はなかった(P = 0.18)。 インフリキシマブの投与中止の理由としては、インフリキシマブ先行品群とバイオシミラー切り替え群でそれぞれ、奏効消失(4.04% vs 4.91%)、免疫原性(1.01% vs 0.75%)、副作用(1.01% vs 2.3%)が挙げられた。 同様に、バイオシミラーに切り替えた患者間で安全性および有効性に差は認められなかった。
結論: インフリキシマブの非医学的切り替えは、IBDの治療において、オリジネーター分子の継続と比較して同様の臨床転帰を示した。 これらのデータは、IBD患者におけるインフリキシマブの非医学的切り替えの安全性と有効性を支持するものである。
ニュースソース
Thomas Tam Hoang(Department of Medicine, Faculty of Medicine, University of British Columbia, Vancouver), et al. : Outcomes of a mandatory non-medical switch of infliximab to a biosimilar for inflammatory bowel disease in British Columbia, Canada.
J Can Assoc Gastroenterol. 2024 Mar 23;7(4):299-305. doi: 10.1093/jcag/gwae011. eCollection 2024 Aug.
キーワード
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