2024年8月20日、米国連邦取引委員会(Federal Trade Commission:FTC)は、先発品の生物学的製剤と代替可能な互換性のあるバイオシミラー医薬品(interchangeable biosimilar drugs)に関する食品医薬品局(FDA)のガイダンス案を支持するコメントを提出した1、2)。
FDAが6月に発表したガイダンス案(既報)では、バイオシミラー申請者は、バイオシミラーが参照薬と互換性があることを証明するために臨床スイッチング試験を提出しなければならないという従来の勧告を削除している。その代わりに、バイオシミラー申請者は、生物学的製剤のライセンス申請における既存のデータが、FDAによる医薬品の互換性指定を支持する理由を説明するステートメントをFDAに提出することができる。ひとたびFDAがバイオシミラー医薬品を「互換性がある」と指定すれば、薬剤師は処方者の介入なしにその製品を生物学的製剤に置き換えることができる。
FTCはFDAのガイダンス草案を支持し、承認プロセスを迅速化し、患者を生物学的製剤からバイオシミラーに変更することが安全かつ有効であることを示す負担とコストを軽減する柔軟性を提供すると考えている。このガイダンス草案は、バイオシミラーの安全性と有効性に関する市場の混乱に対処するのにも役立ち、互換性があると指定されるバイオシミラーの数が増えることにより、生物学的製剤間の参入障壁が減り、競争が促進される可能性が高いことも指示する理由としている。
FTCによれば、FDAのガイダンス案は、生物製剤間の競争と技術革新を促進するという2009年生物製剤価格競争・革新法(Biologics Price Competition and Innovation Act of 2009:BPCIA)の目標を完全に実現するための正しい方向への一歩であり、このことは、これらの救命医薬品に依存する患者の価格低下と選択肢の拡大につながる可能性がある。米国人が互換性のあるバイオシミラーへのアクセスを拡大できるようにするため、各省庁は、放置すれば患者がバイオシミラーにアクセスできなくなる可能性のある反競争的慣行を監視し続けなければならない、とコメントは述べている。
(坂巻コメント:公正取引委員会のような組織が消費者利益の視点から薬務行政への意見を発出することは驚きである。ちなみに、FTCは、消費者に対してもバイオシミラーの情報を発信している3)。)
ニュースソース
- Federal Trade Commission:FTC Submits Comment Supporting Proposed FDA Guidance on Interchangeable Biosimilar Drugs.
https://www.ftc.gov/news-events/news/press-releases/2024/08/ftc-submits-comment-supporting-proposed-fda-guidance-interchangeable-biosimilar-drugs - Federal Trade Commission:FDA Draft Guidance Biosimilar Drugs Comment Letter.
https://www.ftc.gov/legal-library/browse/cases-proceedings/public-statements/fda-draft-guidance-biosimilar-drugs-comment-letter - Federal Trade Commission:Are You on a Biologic Medication? What You Need To Know About Biosimilar Treatment Options.(2023年2月16日公開、2024年2月28日更新)
https://consumer.ftc.gov/articles/are-you-biologic-medication-what-you-need-know-about-biosimilar-treatment-options
関連情報「FDA バイオシミラーのスイッチ研究の扱いを変更するガイダンス案を公表」(2024年6月24日公開)https://www.pcubed.jp/medicine/20240624-802/
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