【業界紙記事】米国薬剤師、医療提供者としての地位は獲得したが、実際の収入にはハードルが残る

米国の健康関連ネットニュース「MedCity」2024年9月2日の記事1)。薬剤師は、予防接種、スクリーニング、投薬管理、慢性疾患管理、患者教育など、多くの臨床サービスを提供するための高度な教育を受け、訓練を受け、免許を取得した貴重な医療チームのメンバーであり、患者の転帰、医療費、医療サービスへのアクセスにプラスの影響を与えるとのエビデンスも十分にある2)。米国の全州の約半数が薬剤師を医療提供者(healthcare providers:HCP)として認めているが3)、臨床サービスの提供や適切な報酬を受けることは、連邦政府の承認や報酬モデルの欠如によって制限されている。記事では、ヘルスケアのエコシステム全体をつなぐために薬剤師を統合する有望な可能性を探っている。

患者のケアへのアクセスを強化
薬剤師を患者のヘルスケアチームの一員としてヘルスケアエコシステムに組み込むことで、タイムリーなケアと健康介入を地域社会の中で患者に提供することができる。 薬剤師はまた、現在の医療提供モデルにおけるケアの継続性のギャップを埋めるために活用することができる。 しかし、薬剤師は、実用的でタイムリーな患者データにアクセスし、プロバイダーや支払者と情報を交換し、提供するサービスに対する報酬を受け取ることができなければならない

最適化されたデータ共有が必要
包括的な患者データにアクセスすることで、薬剤師はより良いケアのギャップを特定し、積極的にニーズに対処し、各患者との対話を最適化することができる。今日、多くの薬局は、臨床サービスに関連するテクノロジーを活用しており、これらによる統合臨床プラットフォームは薬剤師業務を支援する。

支払者を味方に
患者に価値あるリターンをもたらし、医療品質スコアを長期的に向上させることを示し、薬剤師のプロバイダーとしての地位を認めさせることが必要。
・ケア・ギャップの解消。
・ケアへのアクセスの向上と患者満足度向上。
・予防医療と治療の最適化、コスト削減とアウトカムの改善。
・頻繁なスクリーニングとモニタリングによるER訪問の減少。

 

(坂巻コメント:米国薬剤師の業務の範囲、そのための教育システムは、日本での薬剤師業務議論の参考になる。また、薬剤師をHCPとして認めるかどうかは州の判断であること、薬剤師業務のアウトカム研究も参考になると思われる。)

 

ニュースソース

  1. Medicity News:Pharmacists Embrace Provider Status in Healthcare, but Hurdles Remain.
    https://medcitynews.com/2024/09/pharmacists-embrace-provider-status-in-healthcare-but-hurdles-remain/?utm_medium=email&_hsenc=p2ANqtz–5DP-zWXWMfgp5xXKlhS__DyVD97AGNU9eE3n7cnu31eA8xRRnspe2ENx74VJqJTsQwclWXBrXowTJBg8lCZ8EFMLs3wVbWFqtmM5IU0D2iMNvXOY&_hsmi=322872378&utm_content=322872378&utm_source=hs_email
  2. Academy of Managed Care Pharmacy: Provider Status for Pharmacists.
    https://www.amcp.org/policy-advocacy/policy-advocacy-focus-areas/where-we-stand-position-statements/provider-status-for-pharmacists
  3. Uzair S Ali, Genevieve M Hale, Melissa Santibañez, Karen Berger, Kathleen Baldwin: Is now our time? History to provider status for allied health professions and the path for pharmacists. J Am Pharm Assoc (2003) 2023 Sep-Oct;63(5):1515-1520. doi: 10.1016/j.japh.2023.07.005. Epub 2023 Jul 22.

 

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2024年9月4日
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