アダリムマブまたはエタネルセプトの先行品からバイオシミラーに切り替えた後の炎症性リウマチ患者におけるノセボ効果(nocebo effect :NE)を定量化することを目的としたフランスにおけるレトロスペクティブ研究。研究デザインにおいてエビデンスレベルは高いとは言えないが、ノセボ効果に着目した研究として興味ある論文(かな?)。
方法: 2018年1月から2022年7月にかけてフランスのノルマンディー地方の4病院で実施された。 バイオシミラーに切り替える前のアダリムマブまたはエタネルセプト先発品投与下で寛解期にある関節リウマチまたは脊椎関節炎患者を対象とした。 NEは、12ヵ月時点でバイオシミラーが維持されず、自覚的有害事象(subjective adverse event:AE)を呈した患者と定義し、切り替え前後に収集した定量データの比較分析を行った。
結果:対象となった183人の患者のうち、13.1%がNEを呈した。 客観的な副作用としては、リウマチ再活性化(15.3%)、不耐症(8.2%)、感染症(1.6%)、アレルギー反応(0.5%)などが認められた。 朝のこわばり持続時間は、脊椎関節炎群で、切り替え前後で有意差があった(p=0.01)。 調査したパラメータの範囲内で、NEの発生に関連する危険因子はなかった。
結論:バイオシミラーに切り替えた後のNEの発生は依然として許容範囲内である。計画的ではない切り替えの場合には、NEの頻度は低いようであった。
ニュースソース
Ouriel Hagege(Department of Rheumatology & CIC-CRB 1404, Rouen University, CHU de Rouen, France), et al: Evaluation of the nocebo effect after switching from etanercept or adalimumab originator to a biosimilar: a retrospective study of patients with inflammatory rheumatism.
Clin Exp Rheumatol. 2024 Sep 17. doi: 10.55563/clinexprheumatol/6cxcaq. Online ahead of print.
キーワード
#ノセボ効果
#炎症性リウマチ疾患