国際医薬経済アウトカム研究学会(ISPOR)の機関誌「Value in Health」2024年10月6日掲載論文(Pre-proof版)掲載の論文。遺伝子治療に関連する価値要素の特定や、生産性への影響など、現在の医療技術評価フレームワークでは見落とされがちないくつかの重要な要素があり、その結果、支払者の補償範囲の決定、そして最終的には患者のアクセスに影響を与えるとしている。遺伝子治療の医療経済評価において検討すべき留意点が示された論文として重要。
以下は、論文の著者抄録のハイライトセクション。
- 遺伝子治療は、疾患の希少性と治療の新規性に加え、初期費用が高く、長期的な影響について大きな不確実性があるため、医療技術評価(Health technology assessment:HTA)は困難を伴う。不確実性により、支払者の補償範囲と払い戻しの決定が複雑になり、患者のアクセスに影響を及ぼす。
- 論文では、X 連鎖性網膜色素変性症 (X-linked retinitis pigmentosa :XLRP) を標的とする遺伝子治療の概念的に関連する価値要素を特定し、イングランド、ウェールズ、フランス、オランダの HTA 機関によるそれらの認識を評価した。生産性への影響や介護者の健康への波及効果など、多くの価値要素が現在の HTA フレームワークで見落とされがちであることが示された。
- XLRP などの遺伝子治療への患者のアクセスを改善するには、メーカー、医療システム、HTA 機関が協力して、このような技術によって引き起こされるパラダイム シフトに適切に対応し、特に、より広範な社会的価値要素を考慮し、より適切な割引慣行を採用する必要がある。
ニュースソース
Jake Hitch(Office of Health Economics, London), et al. : Challenges in Value Assessment for One-Time Gene Therapies for Inherited Retinal Diseases: Are We Turning a Blind Eye?
Value in Health. Articles in PressOctober 06, 2024Open access
(全文は以下で閲覧可)
https://www.valueinhealthjournal.com/action/showPdf?pii=S1098-3015%2824%2902858-4
キーワード
#X 連鎖性網膜色素変性症
#遺伝子治療の医療技術評価
2024年10月23日