【論文】複雑で進化し続けるスペシャリティドラッグの米国における保険適用を探る

2024年10月18日American Journal of Managed Care(AJMC)公開の論文。

米国では、民間保険におけるさまざまな利用管理が導入されていて、患者の90%がなんらかの制限を受けている。スペシャリティドラッグは保険の7%に過ぎないが、希少疾病用医薬品やがん治療薬で利用管理が増えている。また、医療保険によって大きな違いがあることも明らかになっている。事前承認を含む利用管理は、患者の専門薬へのアクセスに大きな影響を与えるが、その内容は医療保険制度によって異なる。他剤が無効な場合に、当該治療薬を使用することができる「ステップセラピー」や 特定の医療提供者による利用の事前審査が免除される「ゴールドカード」などの措置が導入され、これらは、コスト管理と患者の専門薬へのアクセスのバランスをとることを目的としている。

支払者とメーカー間のバリューベース契約とアウトカムベース契約は、従来の事前承認や利用管理プログラムを超える、専門薬の適用を管理するための2つの革新的なアプローチである。 この種の契約は、支払いや払い戻しをあらかじめ指定された目標の達成に結びつけることで、支出を望ましい臨床的成果とより適切に整合させることを目的としている。例えば、ヘモグロビンA1C値への影響のようなプロセスアウトカム、心臓発作のリスク低減のような患者中心のアウトカム、研究エンドポイントが達成されなかった場合の抗がん剤コスト低減のような財政的アウトカムなどである。 成功のための重要な要素には、シンプルで意味のあるアウトカム指標に合意すること、製造業者と支払者の間で適切なリスク分担を確立すること、対象集団の規模が努力を正当化するのに十分であることを確認することなどが含まれる。ただし、これらのアプローチも、適切なアウトカム指標を見つけることや適応外使用への対応といった課題など、他の障壁も存在する。

増加するコスト、特に医薬品をどのようにうまく管理できるか、事前承認や利用管理の枠を超えてた仕組みとして、成果ベース契約は、完全な解決策ではないかもしれないが、検討すべきことだと結論付けている。

 

ニュースソース

Pearl Steinzor(Assistant Editor, American Journal of Managed Care):Exploring the Complex, Ever-Evolving Landscape of Specialty Drug Coverage.AJMC. October 18, 2024
https://www.ajmc.com/view/exploring-the-complex-ever-evolving-landscape-of-specialty-drug-coverage

 

キーワード
#バリューベース契約
#アウトカムベース契約

2024年10月23日
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