岡山大の研究者らにより日本で行われた研究。以下はPubMedの抄録。
背景:トラスツズマブバイオシミラーは世界的に使用されているにもかかわらず、その有効性と安全性に関する懸念が残っている。 特に、ペルツズマブと同時に使用される場合、トラスツズマブバイオシミラーは広範な実臨床データと安全性情報を欠いている。 加えて、がん治療薬への支出は世界的に増加の一途をたどっており、バイオシミラーによるコスト削減はますます重要になってきている。
目的:本研究の目的は、大規模な患者集団に焦点を当て、実臨床におけるトラスツズマブ原薬とそのバイオシミラーの安全性、有効性、費用対効果を評価することである。
Methods: 解析対象は、日本の株式会社メディカル・データ・ビジョンのデータベースに登録されたHER2陽性乳がん患者31,661人である。 さらに、世界保健機関(WHO)の世界的有害事象報告データベースであるVigiBaseから、トラスツズマブ先発品およびそのバイオシミラー58,799例の有害事象報告を入手した。
結果:心不全による入院、肝機能障害、infusion reactionの発生率は、メディカル・データ・ビジョン社のデータベースと世界保健機関のVigiBaseの両方で有意差は認められなかった。 株式会社メディカル・データ・ビジョンのデータベースでは、ペルツズマブの追加は有害事象の発生率に有意な影響を与えず、バイオシミラーの使用は医療費を有意に削減し、乳癌再発率に有意な差は認められなかった。
結論:2つの大規模かつ多様なデータセットを多角的に分析することにより、トラスツズマブ原薬とそのバイオシミラーは同様の安全性プロファイルを有するという信頼性の高い結果が得られた。 ペルツズマブの同時使用も安全であることが判明した。 バイオシミラーの使用はコスト削減につながる。 これらの知見は、臨床現場におけるバイオシミラーの評価と採用に重要な示唆を与えるものである。
ニュースソース
Tomoka Mamori(Department of General Thoracic Surgery and Breast and Endocrinological Surgery, Graduate School of Medicine, Dentistry, and Pharmaceutical Sciences, Okayama University),et al. :Real-World Comparative Analysis of Trastuzumab Originator and Biosimilars: Safety, Efficacy, and Cost Effectiveness.
BioDrugs. 2024 Oct 16. doi: 10.1007/s40259-024-00686-x. Epub ahead of print. PMID: 39412713.
(全文は以下で閲覧可)
https://link.springer.com/article/10.1007/s40259-024-00686-x
キーワード
#トラスツズマブ