Nature Communication Medicineの誌上ディスカッション。ファイザーにより作成されたもの。
AMRは世界的な健康危機であり、新しい抗菌薬の開発が必要不可欠であるが、従来の販売量に基づく価格設定モデルが抗菌薬の研究開発を妨げている現状がある。この記事では、サブスクリプションモデルや価値ベースの価格設定、地域ごとの支払い能力に応じた差別価格の導入など、代替の価格戦略が新たな抗菌薬の開発と公平な供給を促進する方法であることを論じている。主な要点は以下の通りである。
- AMRの世界的課題: AMRは特に低所得国に対して大きな経済的影響を与え、世界のGDPに悪影響を及ぼす可能性があるため、抗菌薬の適正使用と手頃な価格での供給が重要である。
- 特許と価格設定メカニズム: 特許は発明者に価格を設定する権利を与えるが、特許が切れるとジェネリック薬が市場に出回る。しかし、ジェネリック薬は安価である一方、品質や安定供給の面で問題があることが多い。
- 抗菌薬投資の課題: 抗菌薬は短期間で使用されるため、製薬会社にとっては利益が少なく、研究開発への投資が難しくなっている。
- 革新的な支払いモデル: イギリスでは、販売量ではなく薬の価値に基づく固定額支払いのサブスクリプションモデルが導入されており、これが抗菌薬の持続的な開発を促進する可能性がある。
- 国際的な協力と政策の重要性: 世界的な協力により、抗菌薬へのアクセスと品質確保、AMR防止を促進するための価格設定モデルが必要である。
- 著者たちは、抗菌薬の開発を促進しつつ、公衆衛生を守るために革新的な資金モデルが不可欠であると強調している。
パネリストと所属は以下の通り。
- Avaneesh Kumar Pandey, Nusrat Shafiq, Ashish Kumar Kakkar & Samir Malhotra:Department of Pharmacology, Postgraduate Institute of Medical Education and Research, Chandigarh, India
- Beth Woods:Centre for Health Economics, University of York, York, UK
- Christopher Little, Tom Rhodes, Harriet Tuson & Zeshan Riaz:Pfizer UK, Tadworth, UK
- Tom Ashfield & Michael Corley:British Society for Antimicrobial Chemotherapy, London, UK
- Ioannis Baltas:Infection, Immunity & Inflammation Department, University College London Institute of Child Health, London, UK
- Ioannis Baltas :Department of Clinical Microbiology, University College London Hospitals NHS Foundation Trust, London, UK
ニュースソース
Avaneesh Kumar Pandey, et al.: Antimicrobial drug pricing.
Pandey, A.K., Shafiq, N., Kakkar, A.K. et al. Antimicrobial drug pricing. Commun Med 4, 198 (2024). https://doi.org/10.1038/s43856-024-00594-9
キーワード
#抗菌剤
#価格設定
2024年10月24日