2024年10月24日付Regulatory Focusによると、バイオシミラー企業と関係団体は、製品別またはクラス別のガイダンスを策定するという米国食品医薬品局(FDA)の提案を強く拒否し、代わりにこの分野の基盤となるガイダンス文書の更新に力を入れるよう同局に強く求めている。
(坂巻コメント:バイオシミラー開発も革新が進む。革新にあわせた規制のあり方の議論は参考にすべき。)
FDAは7月下旬、新たなバイオシミラー医薬品開発ガイダンスの提案に関する意見を求める通知を発表し、利害関係者に対して次の2つの質問に対する意見を求めた。
バイオシミラー開発ガイダンスは製品別?カテゴリー別? FDAはパブリック・ドケットを設置(2024年7月26日公開)参照
- バイオシミラーの開発を加速させるために、特定の製品に焦点を当てたガイダンス文書(製品別ガイダンスproduct-specific guidance)と、モノクローナル抗体などのバイオシミラー製品群に横断的に適用できるガイダンス文書(製品群別ガイダンスproduct class-specific guidance)のどちらがより有用か?
- FDAは、承認されたバイオシミラーが存在しない生物学的製剤(または生物学的製剤群)のガイダンス文書開発に重点を置くべきか?あるいは、生物学的製剤または生物学的製剤のクラスに対して1つ以上のバイオシミラー製品が承認された後も、FDAがバイオシミラー開発プログラムに関するガイダンスの策定を継続することは有益だろうか?
記事による各企業・団体の意見は以下の通り。
- Sandoz
FDAのリソースは無限ではないこと、製品別ガイダンス(product-specific guidance:PSG)の策定は困難であると指摘している。バイオシミラー開発プログラムbiosimilars development programのさらなる改善策の実施、特に、より早期かつ包括的なフィードバックの提供、基礎となるガイダンスの優先順位付け、バイオシミラー開発の合理化によって、より加速されるべきとしている。
- Biosimilars Forum、Biosimilars Council
Biosimilars Forumは、米国のバイオシミラー開発者を代表する団体。また、Biosimilars Councilは、Association for Accessible Medicines(米国のBS/GE業界団体)の一部門。PSGについて、「バイオシミラーの開発を遅らせ、バイオシミラー利用料法改正(Biosimilar User Fee Amendments:BsUFA)の資金を不適切に使用する」と述べている。また、技術や試験方法が急速に進化する中、PSGの有効性がすぐに失われる可能性が高いと指摘している。PSGはジェネリック薬でよく使われるが、特定の製品やクラスに焦点を当てるべきではなく、例えばバイオシミラーのための「基礎的ガイダンスfoundational guidances」を最終化し、開発のための規制プロセスを明確化するなど、その資金を使用するよう求めている。
- PhRMA(Pharmaceutical Research and Manufacturers of America)
PhRMAは製薬業界を代表する団体であり、PSGには反対しているが、クラスごとのガイダンスには一定の支持を示している。作用機序など、共通の特徴を持つ複数のバイオシミラー製品に適用できる、バイオシミラー製品群全体にわたるガイダンス文書を発行することを望んでいる。より革新的なバイオシミラー製品クラスに関するガイダンスを発行することが、より幅広いバイオシミラー製品の開発を促す可能性があると述べている。
ニュースソース
Regulatory Focus:Industry rejects FDA’s proposal for biosimilar product-specific guidance.
https://www.raps.org/news-and-articles/news-articles/2024/10/industry-rejects-fda-s-proposal-for-biosimilar-pro?mkt_tok=MjU5LVdMVS04MDkAAAGWX3i7tfdSdgrROflFim5IpgzQ9TzJkYGzgb06Vq-zl5NCXycyvrmqXadK7HYLukH71iThmsIZ_WR84cC97xQwz9Zf1p5QRmYpFNn4d0mZ
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#FDAガイダンス
2024年10月25日