デンマークでは、特許切れ医薬品は国全体の入札により特定製品のみが償還される仕組みである(論文によると、バイオシミラーについては2製品が償還されると推察される)。論文は、デンマーク全体でアダリムマブの先行品からバイオシミラーに切り替えることに寄る医療費への影響を検討している。論文の原題の和訳は「コストを計算する:1300人の炎症性関節炎患者におけるアダリムマブバイオシミラー切り替え後の医療利用に関する全国調査。」
以下はPubMedの抄録(論文全文も閲覧可)。
背景と目的:デンマークでは、コスト削減のためにバイオシミラーへの切り替えが義務付けられている。2018年、患者は先発品からバイオシミラーであるアダリムマブ、すなわち東デンマークではGP2017に、西デンマークではSB5に切り替えた。しかし、患者教育、治療モニタリング、患者の懸念による外来受診回数の増加など、追加的な費用負担に関する懸念が提起された。そこで、切り替えが総医療費の増加につながったかどうかを調査する。
研究方法:地理的クラスター擬似無作為化を用いた観察コホート研究。関節リウマチ、乾癬性関節炎(psoriatic arthritis :PsA)、腋窩脊椎関節炎( axial spondyloarthritis :AxSpA)を有する患者で、切り替えを行った患者を全国規模のDANBIOレジストリで同定した。切り替え前後9ヵ月の総医療費は、National Patient and Prescription registriesから収集した。一般化推定方程式(GEE)モデルにより、切り替え前後のコストの差を推定した。
結果:全体で1316人の患者がGP2017(n=621)またはSB5(n=695)に切り替えた。総医療費は主に病院費が牽引している。切り替え前後9ヵ月の病院費の月次変動は、ほぼ同等か減少していた。調整後分析(GEE)では、GP2017切り替え者、特にPsA(推定値=0.83;95%CI0.75-0.92)およびAxSpA患者(推定値=0.85;0.77-0.93)において、切り替え後に病院費用が減少(約15%)し、SB5切り替え者では有意な変化はみられなかった。
結論:アダリムマブの先発品からバイオシミラーへの切り替えが全国的に義務化された後、9ヵ月間の総医療費は増加しなかった。 GP2017とSB5でも同様の結果が得られたことにより、我々の知見はより強固なものとなった。
ニュースソース
Hafsah Nabi(DANBIO and Copenhagen Center for Arthritis Research (COPECARE), Center for Rheumatology and Spine Diseases, Centre of Head and Orthopedics, Copenhagen University Hospital Rigshospitalet), et al.: Counting the costs: a nationwide study on healthcare use following an adalimumab biosimilar switch in >1300 inflammatory arthritis patients.
Ther Adv Musculoskelet Dis. 2024 Oct 16;16:1759720X241289391. doi: 10.1177/1759720X241289391. PMID: 39484043; PMCID: PMC11526192.
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