【論文】薬価算定方法の方法論

新薬へのアクセスは患者にとって極めて重要であるが、薬価の高さがますます議論の的となっている。 同時に、特殊な医薬品が重視されるようになり、市場に投入された新薬の長期的な有効性を取り巻く不確実性が、革新的な価格設定アプローチの必要性を強調している。 持続可能な医薬品イノベーションと患者にとっての手頃な価格とアクセシビリティを両立させる新たなアプローチに資する知見を提供するために、医薬品価格設定モデルに関する体系的な文献レビューと批判的評価が行われ、その結果、6つの異なるプライシングモデルが特定された。

  1. バリュー・ベースド・プライシングvalue based pricing
  2. 基本的なコスト・ベースド・プライシングbasic cost-based pricing
  3. 多くの要素を組み込んだ4つの包括的なプライシングモデルfour more comprehensive pricing models incorporating numerous elements
    • 抗がん剤プライシング・モデルcancer-drug-pricing model
    • AIMモデルAIM model
    • (Nuijtens)割引キャッシュフロー(Nuijtens) discounted cash flow
    • リアル・オプション収益率法real-option rate of return method

各モデルには多くの共通点があるが、それぞれ実施に際して独自の前提条件がある。 例えば、標準的な増分費用対効果比と基本的な費用ベースの価格設定以外のすべてのモデルは、対象となる患者数と残りの特許期間を考慮している。 AIMモデルとNuijtens割引キャッシュフローモデルだけが、一時金を用いている。 後者と実収益率法は、いずれも資本コストをコストベースの主要な要素として明確に含んでいる。 各モデルの用途が多様であることを認識することは、各医薬品の特性や治療領域に合わせた、より差別化されたダイナミックな価格設定の必要性を浮き彫りにする。 さらに、この目標を達成するためには、コストの透明性が重要であることも強調されている。 その結果、これらの知見は、利害関係者が、変化し続ける医薬品事情の複雑さに対処する、持続可能で手頃な薬価メカニズムを開発するのに役立つであろう。

 

ニュースソース
Evert A Manders(Medicine for Society, Platform at Amsterdam University Medical Center, Amsterdam), et al. : Drug pricing models, no ‘one-size-fits-all’ approach: a systematic review and critical evaluation of pricing models in an evolving pharmaceutical landscape.
Eur J Health Econ. 2024 Nov 4. doi: 10.1007/s10198-024-01731-w. Online ahead of print.
(全文は以下で閲覧可)
https://link.springer.com/article/10.1007/s10198-024-01731-w

 

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2024年11月12日
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