2024年11月14日公開の日本で実施された研究論文。以下は論文抄録の翻訳。
背景:バイオシミラーは、がん治療費を大幅に節約できる可能性を秘めている。しかし、バイオシミラーの採用には障壁が存在する。日本では2022年に新しい医療政策が導入され、対象となる病院に財政的インセンティブを提供することで、がん領域におけるバイオシミラーの使用が促進されるようになった。本研究の目的は、これらの経済的インセンティブ(診療報酬加算)と処方パターンとの関連を検討することである。
方法:本研究では、DPC(Diagnosis Procedure Combination)データを分析し、がん領域におけるバイオシミラーの使用に対する新しい医療政策の影響を評価した。この政策は、バイオシミラーを使用する病院に対して加算を与えるものであった。本研究では、特定の種類のがん患者を対象とし、先行品とバイオシミラーの処方数を用いて、毎月のバイオシミラーの処方割合を分析した。分析には一般化合成対照法を用いた。
結果:2020年4月から2023年3月まで、114病院の27,737人の患者を対象とし、63の適格病院が加算を受けた。医薬品(リツキシマブ、トラスツズマブ、ベバシズマブ)の平均処方数は、対象病院、非対象病院ともに徐々に増加した。加算は、バイオシミラーの処方割合の有意な増加と関連しており、非適格病院と比較して1ヵ月あたり0.092(95%CI、0.040-0.145)[9.2%、95%CI、4.0-14.5]の増加であった。
結論:本研究から、バイオシミラー製剤を使用するための経済的インセンティブを病院に与えることで、バイオシミラーの処方が増加することが示された。適度な経済的インセンティブを与えるという日本の最近の医療政策は、バイオシミラー医薬品の処方を増やすための効果的なアプローチである。
ニュースソース
Hisashi Itoshima, Daisuke Takada, Etsu Goto, Noriko Sasaki, Susumu Kunisawa, Yuichi Imanaka(Department of Healthcare Economics and Quality Management, Graduate School of Medicine, Kyoto University, Kyoto):The impact of financial incentives promoting biosimilar products in oncology: A quasi-experimental study using administrative data.
PLoS One. 2024 Nov 14;19(11):e0312577. eCollection 2024. DOI: 10.1371/journal.pone.0312577
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