ジェネリック医薬品とバイオシミラーの専門誌「GaBI Journal」に掲載された論文。著者は、フィンランド医薬品庁(Finnish Medicines Agency:Fimea)のメンバーでもあるフィンランド・ヘルシンキ大学の臨床免疫学のPekka Kurki教授。
クルキ教授は、遺伝子治療や細胞治療を含む生物学的療法は急速に進歩しているが、患者へのアクセスを制限する高コストのために大きな課題に直面している一方で、バイオシミラーは治療費を削減し、医薬品へのアクセスを改善する可能性があると強調する。しかし、バイオシミラー医薬品の価格高騰の要因の一つは、イノベーターによる反競争的慣行や厳しい規制要件により競争が制限されていること、とりわけ、多くの場合、同等性を証明するために標準品の購入や大規模な臨床試験が必要なこともある。
英国や世界保健機関(WHO)の最近の規制変更は、特定の状況下で有効性比較試験の要件を免除する方向へのシフトを示唆している。 EMAは、ガイドラインの再評価を開始し、歴史的な有効性比較試験への依存が時代遅れである可能性を認めている。医薬品規制は、産業の成長を促しながら公衆衛生を優先すべきである。 一部の規制当局は、ガイダンスにおける調和の必要性を反映し、要件の合理化を進めている。 米国では、バイオシミラーと互換品の区別をなくし、有効性比較試験の負担を軽減することを目的とした法制化が進められている。
クルキ教授は、より多くの生物学的製剤が独占権を失う中、規制当局には、バイオシミラー開発を簡素化・加速化し、競争を促進し、必要不可欠な医薬品へのアクセスを改善することが求められているとし、規制当局間の協調的な取り組みにより、有効性比較試験の必要性に関するより良い調整が促進され、最終的には公衆衛生に利益をもたらし、患者の治療選択肢を拡大することができると指摘している。
ニュースソース
- GaBI online: Comparative efficacy studies: where are we now?
https://www.gabionline.net/biosimilars/research/comparative-efficacy-studies-where-are-we-now - Pekka Kurki : Comparative efficacy studies of biosimilars: data versus theoretical risks, beliefs, and comfort.
Generics and Biosimilars Initiative Journal (GaBI Journal). 2024;13(1):23-6.
doi:5639/gabij.2024.1301.004