スイス国民投票が医療改革を支持

2024年11月24日、Swissinfo記事。スイスの有権者は、医療制度の財源を変更する政府案を承認した。

政府の最終結果によると、入院治療だけでなく医院での治療にも国の支援を与えるという法案は、日曜日の国民投票で53.3%の支持を得た。

今のところ、スイスの州では、入院治療費の一部が州から支給されるだけで、その他の治療費は保険会社や治療者自身が全額負担しなければならない。 外来治療へのインセンティブを高めることで、政府は年間約4億4,000万フラン(4億9,000万ドル)の節約を目指した。

社会民主党と労働組合の連合は、この改革は医療保険者に権限を与えすぎるとして反対した。 投票前の世論調査では、賛成派と反対派はほぼ同数だった。

「スイスの直接民主制では、税制から類人猿に人権を与えるべきかどうかまで( issues ranging from taxation to whether apes should have human rights)、年に4回も国民投票が行われる」という。

 

ニュースソース

Swissinfo: Swiss Back Health Reform, Boosting Incentive for Outpatient Care.
https://www.swissinfo.ch/eng/swiss-back-health-reform,-boosting-incentive-for-outpatient-care/88306359

 

スイスの医療制度概要

スイスの医療制度は国営と民間経済のミックスだ。健康保険会社は民営で、その市場は厳しく規制されている。一方、医療機関には民営と公営の両方がある。

また、実際の医療供給は州の管轄だが、連邦レベルの法律が規定している分野もある。このように、スイスの医療制度はかなり断片化されており、組織的にも全体的な把握が難しい。世界でも突出したスイスの医療費支出には、こういった状況も関係している。

スイス国民は全員、基礎医療保険への加入が義務付けられており、自分で選んだ健康保険会社に月々の保険料を支払う。そのため、健康保険会社の間には競争がある。保険料の月額は会社や州によって異なり、低額所得者には居住している州から補助金が支払われる。健康保険会社は疾病を持つ人や高齢者であっても、全ての人に対し基礎保険の加入を認めなければならない。但し種々のオプションを追加できる補完的な医療保険は、任意の契約が認められる。

被保険者は年間最低300フラン(約3万円)の医療費を自己負担する。この免責額は2500フランを上限とし、免責額が高くなるほど保険料の月額は低くなる。例えば、最高免責額である2500フランを選んだ場合、被保険者はこの金額に達するまで治療代や薬代を自己負担し、それを超えると健康保険会社が負担する。 免責額に達した後も、被保険者は最高700フランまで治療代や薬代の1割(薬によっては2割)を自己負担しなければならない。また、入院した場合は毎日15フラン支払う。

Swissinfo: 高額で複雑?スイス医療制度のあらまし.(日本語)
https://www.swissinfo.ch/jpn/society/%E5%8C%BB%E7%99%82%E6%94%BF%E7%AD%96_%E9%AB%98%E9%A1%8D%E3%81%A7%E8%A4%87%E9%9B%91-%E3%82%B9%E3%82%A4%E3%82%B9%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%88%B6%E5%BA%A6%E3%81%AE%E3%81%82%E3%82%89%E3%81%BE%E3%81%97/44657752

 

2025年1月9日
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