ISPOR機関誌「Value in Health」2024年12月30日公開の論文。
近年の科学的飛躍的進歩により、これまで治療不可能とされてきた疾患を含む希少疾患の疾患修飾や治癒の可能性のある細胞・遺伝子治療(cell and gene therapies :CGT)の開発が推進されている。 しかし、CGTのユニークな特性は、製品承認と市場参入のために規制・評価機関が使用する治療価値の決定、償還、転帰評価の従来の方法に課題を突きつけている。 特に、CGTは1回限り、または短期間の治療であり、ファースト・イン・クラスであることが多く(効果的な代替品との直接的な比較ができない)、健康上の利点は主に時間をかけて実現される。
研究は、希少疾患のCGTに関連する5つの分野における医療経済・アウトカム研究( health economic outcomes research :HEOR)の新たな解決策を、文献や最近承認された治療法の例を用いてまとめた。これらの解決策には、リアルワールドエビデンス(RWE)を創出するためのリアルワールドデータの収集(RWD)、患者中心主義と新たな価値評価の枠組み、経済評価手法の進化、新たな償還モデルとアフォーダビリティの管理、健康の公平性と社会的便益が含まれる。
その結果、HEOR手法の進歩は、CGTの有効性外挿のための長期RWDの設計と収集、新規(サロゲートを含む)エンドポイントの使用、患者の声と嗜好の統合、高度な統計学的手法とAI/機械学習技術の適用をもたらしていることが明らかとなり、HEORの継続的な革新は、健康アウトカムの改善、コストの削減、アクセスの向上に貢献し、最終的には希少疾病患者へのCGTのより効率的な提供を可能にすることが期待されると結論付けている。
ニュースソース
Walter Toro(Novartis Gene Therapies, Inc., Bannockburn), et al.: Evolving Concept of Value in Health Economics and Outcomes Research: Emerging Tools for Innovation and Access to Cell and Gene Therapies for Rare Diseases.
Value in Health DOI: 10.1016/j.jval.2024.12.006