【論文】米国マネジドケア薬局における今後5年間のトレンド

2024 AMCP Foundation Emerging Trends Surveyでは、5つの領域にわたり、今後5年間でマネジドケア薬局に影響を与えると予想されるトレンドが特定された。論文では、治療薬・診断薬領域における今後5年間に起こりうるシナリオについて具体的な解説がなされている。

調査対象となったシナリオは以下の13で、上位から「可能性が高い」とする割合が高い。

  1. GLP-1受容体作動薬の使用は(承認された適応症が追加されたこともあり)少なくとも25%増加する。
  2. 希少疾患の新薬が10種類以上承認される。
  3. バイオシミラーの販売が承認される先発品の生物学的製剤の数が少なくとも25%増加する。
  4. 新興感染症や慢性疾患のために5種類以上の新規ワクチンが開発される。
  5. FDAは10以上の新しいデジタル療法を承認する。
  6. 市販の診断テストの数が倍増する。
  7. ファーマコゲノミクス研究データの拡大により、臨床上の意思決定におけるこの種の情報の使用は25%増加する。
  8. がんの早期発見のための検診が少なくとも50%増加する。
  9. 健康の社会的決定要因が、臨床試験の20%以上に正式に組み込まれる。
  10. 性別と人種の多様性は、臨床試験の50%以上で正式に評価され、評価される。
  11. FDAの早期承認プロセスは50%拡大する。
  12. 新薬承認の少なくとも25%は、患者経験データに一部基づく。

慢性疾患の治療を受ける患者の少なくとも10%が、埋め込み型薬物送達システムを使用する。

 

上記のうち、3のバイオシミラーに関する記述は以下の通り。

調査回答者の大半は、バイオシミラーの数が今後も増加し続ける可能性が高い、または非常に高いと回答している。80以上の製品が開発中のバイオシミラーのパイプラインを考慮すると、これは非常に高い可能性である。6 バイオシミラーがもたらしたいくつかの成功とコスト削減にもかかわらず、バイオシミラーの課題として依然として残っているのは市場浸透の遅さである。バイオシミラーが登場した当初は、先行バイオ医薬品との間に臨床的に意味のある違いが本当にないのかどうかについて、懸念の声も聞かれた。7 Biologics and Biosimilars Collective Intelligence Consortium(バイオ医薬品・バイオシミラー集合知コンソーシアム)では、経験を重ねるにつれ、患者と医療提供者は承認プロセスに慣れてきており、バイオシミラーは先行バイオ医薬品と非常に類似しており、患者ケアを妨げるものではないという意見を定期的に耳にするようになった。現在では、懸念の中心は償還や、コスト削減インセンティブが適切に調整されているか、バイオシミラー市場の持続可能性などへと移っている。強固なバイオシミラー市場は医療制度全体にとって有益であるため、マネジドケア薬局はバイオシミラーの入手可能性と利用の拡大を支援する上で独自の立場にある。

バイオシミラーに関しては、米国における法定の相互代替性の概念も、世界中の他の地域では直面していない混乱と複雑さを生じさせている。2023年初頭、欧州医薬品庁は、承認済みのバイオシミラーはすべて、参照製品と互換性があり、同じ参照製品に対する他のすべてのバイオシミラーとも互換性があると想定されるという声明を発表した。8 欧州医薬品庁の規定により近いものにするため、米国議会では法文を修正する法案が提出されているが、このような文言がいつ採用されるかはまだわからない。

 

ニュースソース

Catherine M Lockhart(Biologics and Biosimilars Collective Intelligence Consortium, Alexandria, VA):Emerging trends in therapeutics and diagnostics: Perspectives on the 2024 AMCP Foundation Survey.
J Manag Care Spec Pharm. 2025 Jan;31(1-b Suppl):S15-S19. doi: 10.18553/jmcp.2025.31.1-b.s15.

(オープンアクセス)https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC11780270/

2025年2月8日
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