Health Affairs誌、2025年2月21日公開。以下は記事の要約。
2022年のインフレ削減法により、メディケア・メディケイドサービスセンター(CMS)は、特定の医薬品価格を製薬企業と交渉する権限を得た。この制度は価格引き下げと患者のアクセス向上を目的とするが、製薬業界は収益減少が研究開発(R&D)投資の抑制につながる可能性を懸念している。ただし、収益減少が必ずしもイノベーションの低下に直結するわけではなく、価格交渉制度には多くの除外措置がある。
- 低支出医薬品:年間総支出が2億ドル未満の医薬品は対象外となる。現在の基準では、2022年の収益上位250の医薬品の80%が交渉対象外であり、実際の影響は限定的である。
- 小規模バイオテク企業:売上の大部分が1つの医薬品に依存する小規模企業の医薬品は対象外。しかし、大手企業による買収後は除外措置の適用外となるため、小規模企業のビジネスモデルに影響を与える可能性がある。
- オーファン医薬品:単一の希少疾患向け医薬品は交渉対象外だが、追加適応試験の意欲低下を招く懸念がある。また、オーファン医薬品は市場で高い収益を上げており、この除外措置によりメディケアのコスト削減機会が失われる可能性がある。
CMSの価格交渉制度は医薬品価格の抑制を目的とした重要な政策であるが、除外措置が多く、製薬業界のイノベーションへの影響は限定的と考えられる。一方で、小規模バイオテク企業の成長機会や希少疾患治療の開発に与える影響については慎重な分析が必要である。
ニュースソース
Feng Xie Brittany Humphries:Medicare’s Drug Price Negotiation And Innovation: What’s Off The Table Matters Too.
Health Affairs Forefront, February 21, 202510.1377/forefront.20250219.342393
https://www.healthaffairs.org/content/forefront/medicare-s-drug-price-negotiation-and-innovation-s-off-table-matters-too
2025年2月22日