医薬品の「プロダクト・ホッピング」と「バージョンアップ」戦略の問題点

JAMA、2025年3月12日記事。

製薬会社が高価な先発医薬品から生じる収益源を長引かせる手段に「プロダクト・ホッピングproduct hopping」がある。プロダクト・ホッピングとは、同じ有効成分を使用して既存の医薬品の新しい製剤を作り、ジェネリック医薬品の競合が出現する時期に、患者を新製品に切り替えることである。 プロダクト・ホッピング戦略には、錠剤からカプセル剤への変更、短時間作用型から長時間作用型への変更、新しい不活性成分の組み込みなどがある。(日本の新薬メーカーもよくやる手段。)

製品ホッピングの新しい形態のひとつに「薬剤のバージョンアップdrug versioning」があり、これは、メーカーが既存の製品の新バージョンを遅らせて旧バージョンの利益を最大化することである。

ギリアド社は1990年代後半に、HIV抗ウイルス剤テノホビルの2種類の経口プロドラッグ(テノホビルジソプロキシルフマル酸塩( tenofovir disoproxil fumarate:TDF)と、より安全性の高いテノホビルアラフェナミドフマル酸塩(tenofovir alafenamide fumarate:TAF))を開発した。ギリアド社は、2001年にFDAからTDFの承認を受け、TDFの数十億ドルの収益を維持するために、TDFの特許満了に合わせてTAFの発売を遅らせた。これがギリアド社によるプロダクト・ホッピングの手法であるが、結果的に、何万もの有害事象と予防可能な死亡を招いたとされる。この事例については、カリフォルニア州の訴訟において、改良版が後に承認された場合の補償について議論されている。

論文の著者は、「非倫理的で過失のある医薬品のバージョンアップを防止することは、下流に多くの利益をもたらす。 不必要な患者の死を防ぎ、タイムリーなジェネリック医薬品の参入を可能にし、安価な医薬品へのアクセスを提供する。 私たちの法律は、医薬品の効率的な発売を奨励すべきである。 より安全な製品の発売を遅らせたギリアド社の責任を問うことは、製薬会社が利益よりも患者の生命を優先することを強制することにつながるだろう。」とまとめている。

 

ニュースソース

  1. Sean Tu(West Virginia University College of Law, Morgantown), Timothy Bonis: Drug Versioning and Legal Accountability for Preventable Product Harms.
    JAMA. Published online March 12, 2025. doi:10.1001/jama.2025.1415
2025年3月14日
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