英国の国立医療技術評価機構 (National Institute for Health and Care Excellence:NICE)は、2025年3月13日、超希少免疫疾患である活性化ホスホイノシチド3キナーゼデルタ症候群(activated phosphoinositide 3-kinase delta syndrome:APDS)の治療薬としてレニオリシブLeniolisib(商品名:Joenja、ファーミングPharming社)を承認したことを伝えた1)。
NICEの決定は、ファーミング社からの更なるデータの提供を受けて、データの不確実性に対処し、レニオリシブ治療が費用対効果の閾値を引き上げることで、レニオリシブの重要なベネフィットを認識できたとしている。同社はまた、レニオリシブの患者1人当たりの年間定価352,000ポンドをさらに引き下げることに同意した。
レニオリシブは、選択的ホスホイノシチド3-キナーゼ阻害剤(PI3Kδ阻害剤、phosphoinositide 3-kinase inhibitor)であり、APDSにおいて過剰に活性化されるPI3Kδと呼ばれるタンパク質を阻害する。 PI3Kδを阻害することにより、免疫応答を生成するB細胞の数の有意な増加や免疫機能の正常化を助け、APDSの治療に用いられる。
レニオリシブはノバルティスによって開発され、その後2019年にオランダのバイオテクノロジー企業であるファーミング・グループPharming Groupにライセンスされた。
米国食品医薬品局(FDA)は、APDSに関連する遺伝的PI3Kδ変異が確認され、PIK3CDまたはPIK3R1のいずれかの変異が証明された12歳以上の31人の参加者を対象とした12週間の盲検無作為化プラセボ対照試験である2201試験(NCT02435173)のプラセボ対照部分において、レニオリシブの有効性を評価し、オーファンドラッグ、優先審査、希少小児疾患を指定し、2023年3月に承認した2)。日本では2024年3月時点で第3相試験が実施中とされる3)。
(坂巻コメント:いろいろ学ぶべき点が。英国のHTA評価、価格引き下げ(リスクシェアリング)の仕組み。欧米と日本での上市ラグと日本での臨床試験のスピードなど)
ニュースソース
- National Institute for Health and Care Excellence:First licensed treatment for ultra-rare immune disorder recommended.
https://www.nice.org.uk/news/articles/first-licensed-treatment-for-ultra-rare-immune-disorder-recommended - Food and Drug Administration:FDA approves first treatment for activated phosphoinositide 3-kinase delta syndrome.
https://www.fda.gov/drugs/news-events-human-drugs/fda-approves-first-treatment-activated-phosphoinositide-3-kinase-delta-syndrome - 臨床研究等提出・公開システム: https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCT2031220625