細胞・遺伝子治療に逆風

BioProcess International、2025年3月24日公開記事。細胞・遺伝子治療(cell and gene therapies:CGTs)の承認の減少、不安定な投資、解雇、CDMOの撤退、有害事象など業界は脆弱な状態にあるが、政治的・経済的安定を浸透させ、製造コスト(Cost of Goods:COGS)を削減することで、CGTsが花開く可能性があるとする。

2025年第一四半期における米国でのCGTs製品の承認は、Neurotech社のEncelto(revakinagene taroretcel)の1件のみであった。年内に予定されている承認候補も細胞治療1件、遺伝子治療3件にとどまり、かつての勢いは見えない。そのほか、CGTsを取り巻く環境を以下のようにまとめている。

  • 資金調達の低迷と回復の遅れ:CGT分野は、バイオテクノロジー業界全体の資金不足の影響を強く受けており、他の技術領域(抗体や低分子化合物)とは異なり、回復が進んでいない。
  • 政治的・政策的不透明性:新たなトランプ政権下での政策動向や、HHS長官に就任したロバート・F・ケネディ・ジュニア氏の存在、FDAなどの連邦機関への不安が投資家心理に悪影響を与えている。
  • 投資家の関心の低下:細胞治療への投資家関心は2024年第2四半期の38%から第4四半期には19%へと半減し、遺伝子治療への関心は23%で横ばいであった。
  • 人員削減と企業撤退:多数の企業が従業員の3分の1以上を削減しており、中には事業撤退した企業もある。CDMO(受託開発製造機関)の一部も市場から撤退している。
  • 製品上市の停滞: Vertex社のCasgevyやLyfgenia(いずれも鎌状赤血球症治療薬)は承認されたものの、患者への実施件数は非常に少なく、普及が進んでいない。
  • 安全性への懸念:Sarepta社の遺伝子治療薬Elevidysでは、患者が急性肝不全で死亡するという重大な有害事象が発生し、株価は25%急落した。この出来事は、限られた患者数しか対象としない治療領域において、投資家に不安を与える結果となった。
  • 今後の展望について、持続可能な成長のためには、製造原価(COGS)の削減が不可欠である。現在の高コスト構造は、業界全体の成長の足かせとなっている。抗体医薬の初期と同様、時間と技術革新、競争によって価格が下がる可能性を指摘し、短期的には企業利益を追求するよりも、業界の長期的健全性を優先すべきと主張する。

 

ニュースソース

BioProcess International:CGT sector: Cautious optimism despite numerous headwinds.
https://www.bioprocessintl.com/global-markets/cgt-sector-cautious-optimism-despite-numerous-headwinds?utm_medium=email&_hsenc=p2ANqt%E2%80%A6

2025年3月26日
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