カナダの独立医療技術評価組織であるカナダ保健医薬品技術庁(Canadian Agency for Drugs and Technologies in Health:CADTH)が2024年3月に公開した全38ページのレポート。以下は、レポートのKey Messagesの抄訳。
課題は何か?
医療機器の再処理には、洗浄、再調整、試験、消毒が含まれ、再使用が安全であることを確保する必要がある。再使用可能な医療機器とは異なり、単回使用医療機器(single-use medical devices:SUMD)については、製造業者が適切な洗浄や滅菌の手順を提供する義務はない。(注:日本ではR-SUDとしているが、カナダではSUMDという。)
カナダ保健省(Health Canada)は、サードパーティによる医療機器の再処理業者を規制しており、新規医療機器製造業者と同様の要件を満たすことを求めている。一方で、病院内での現場再処理については、州および準州レベルで提供される監督に委ねられており、連邦レベルでの監督は行われていない。
再処理されたSUMDを使用することによる経済的および環境的な利点の可能性を踏まえ、再処理SUMDの臨床的安全性を評価することに対する関心が高まっている。
現在の医療機器の再処理に関する基準は、生物負荷(bioburden)の測定に基づく滅菌および消毒の定義を使用しているが、感染などの臨床的アウトカムを必ずしも基にしているわけではない。
本調査で実施したこと
再処理された重要度の高いまたは中程度のSUMDの適切な使用に関する意思決定を支援するために、CADTHは、非再処理(新規)SUMDと比較して、再処理SUMDの臨床的安全性(感染、死亡、その他の有害事象)を評価した文献の特定および要約を試みた。細菌コロニー数などの微生物学的アウトカムは評価対象に含めなかった。
情報スペシャリストが査読付き文献およびグレイリテラチャーを検索した。本報告書は、カナダにおける再処理業者の包括的な一覧を提供するものではなく、特定の再処理方法を推奨するものでもない。
得られた知見
カナダを拠点とした1件の研究を含む8件の研究が特定され、それらは再処理SUMDと新規SUMDの使用を比較していた。大半の研究では、患者アウトカムに統計的に有意な差は報告されていなかった。
収載された研究の多くは、質が非常に低いから中程度であり、再処理SUMDの再使用によるアウトカムの信頼性には限界がある。研究の半数は2005年以前に発表されたものであり、再処理基準、外科的手法、医療機器の仕様、患者ケア手順の進展や変化を踏まえると、今日の適用性には制限があると考えられる。
ほとんどの研究では、異なる外科的患者集団に対して異なる種類の再処理SUMDが評価されており、特定の医療機器を特定の患者集団や介入に対して使用することに関するエビデンスは非常に限られている。すべての研究が「重要度の高い」SUMDに分類される機器を対象としており、すべて外科的環境で実施されたものである。ただし、「中程度の重要度」の機器や非外科的環境での患者リスクが異なるか否かについては明らかでない。
意味すること
機器の種類、臨床応用、再処理方法が多岐にわたるため、SUMDの再処理の妥当性について包括的な結論を導くことは困難である。
本レビューにおけるエビデンスは、外科的環境における再処理された重要度の高いSUMDが患者アウトカムに影響するか否かについて結論を出すには不十分であった。ただし、感染リスクに基づいて医療機器の再処理に関する意思決定を支援するための、カナダの基準およびその他の情報資源は存在する。
患者の安全性を確保するためには、SUMDの再処理は、カナダ保健省の規制に準拠した安全性、有効性、表示要件を満たす必要がある。
ニュースソース
Kellee Kaulback, and Jennifer Horton: Reprocessed Single-Use Semicritical and Critical Medical Devices.
CADTH Health Technology Review(Report No.: RC1511) https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK602703/