【論文】米国の梅毒急増と治療薬不足

2024年6月14日付JAMA Network「梅毒が急増しているのは、その原因となる病原体以外にも理由がある」とする論文が掲載されている。この論文では、米国での梅毒急増とその背景、梅毒撲滅キャンペーンと検査の必要性等について紹介している。その中で、治療薬の欠如について以下のように記述している。

梅毒の治療薬として好まれるペニシリンGは、少なくとも昨年(2023年)夏から供給不足に陥っており、この状況は今年末まで続く見込みである。バイシリンL-Aとして販売しているペニシリンGベンザチンの米国での唯一の供給元であるファイザー社によれば、需要に追いついていないとのことである。ペニシリンGベンザチン注射は、妊娠中の人と先天梅毒の乳児に有効な唯一の梅毒治療薬である。非妊娠者はドキシサイクリン錠剤で2~4週間治療し、感染初期か後期かに応じてペニシリンGのベンザチン注射を1~3回行う。

この品不足のため、米国食品医薬品局(FDA)は1月、フランスの製薬会社のためにイタリアで製造されたベンザチンベンジルペニシリン(Extencilline)の一時輸入を許可した。ベンザチンベンジルペニシリンはペニシリンGベンザチンの別名である。ExtencillineはFDAの認可を受けていないが、他国では認可され販売されており、ファイザー社の製品と同等である。

これらの治療薬は非常に有効であるが、梅毒やその他の性病に対するワクチンなど、「さらなる進歩が必要である」とレバイン氏は指摘する。米国保健社会福祉省は最近、新しい梅毒治療法の開発について話し合うワークショップを国立衛生研究所の科学者たちと開催した。

 

ニュースソース
Rita Rubin (Lead Senior Staff Writer, JAMA Medical News & Perspectives): Syphilis Has Surged for Reasons That Go Beyond the Pathogen That Causes It.
JAMA. Published online June 14, 2024. doi:10.1001/jama.2024.2978
https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2820290?guestAccessKey=9e666004-a79f-4b7c-9217-4056d782105b&utm_source=silverchair&utm_medium=email&utm_campaign=article_alert-jama&utm_content=olf&utm_term=061424&adv=000003165313

 

キーワード
#梅毒
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2024年6月15日
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