デンマーク、重要医薬品の備蓄に関する新規制を発効

2024年6月4日、デンマーク議会は「重要医薬品の備蓄に関するデンマーク法(Danish Act on Stockpiling of Critical Medicines)」を採択し、2024年7月1日以降、最も重要な医薬品を扱う企業は、当初6週間分、その後、最大8週間分の消費量をカバーする在庫を維持し、デンマーク医薬品庁に定期的に在庫を報告することが義務付けられる。

(備蓄概要)
この備蓄は、患者への影響を防ぐため、短期的に供給が困難になった場合の重要医薬品の必要性をカバーするためのものである。 この備蓄はまた、デンマーク医薬品庁やその他の関係者が、備蓄が不足する長期的な供給困難の影響を緩和するために必要な措置をとる時間を与えるものでもある。在庫の確保とともに、企業は隔週でデンマーク医薬品庁に在庫を報告することが義務付けられる。 デンマーク医薬品庁は報告システムの構築に取り組んでおり、その詳細については2024年後半に発表する予定である。

(備蓄情報の利用)
デンマーク医薬品庁は、医薬品卸売業者、デンマーク地域調達サービス(Amgros I/S)、一次医療機関の薬局、公立病院の薬局からすでに受け取っている情報を補完するために、医薬品の強制在庫に関する情報を提供する。 これにより、デンマーク医薬品庁は、サプライチェーンのより広い範囲における構成医薬品の在庫の全体像を把握し、一次医療機関における重要な医薬品に関する供給状況を評価するためのより良い機会を得ることができる。
(坂巻コメント:デンマークは伝統的に薬局規制が強く、Amgros I/Sによる供給管理、卸の集約(最大の卸がNomeco)、薬局数も全国で500軒程であるため、情報収集が可能である。)

(対象企業)
新法は2024年7月1日から施行されるが、企業は2025年1月1日までに新要件に対応しなければならない。そのため、企業は今後6ヶ月の間に、必要な設備や資源を構築し、義務化された在庫に対応する準備をしなければならない。 この法律は、2027年1月1日までに評価されることになっている。なお、並行輸入業者・販売業者は備蓄義務の対象ではないが、デンマーク医薬品庁に在庫を報告しなければならない。また、便所申請により義務の免除も可能である。

(対象品目)
備蓄義務の対象となる重要な医薬品は、当初350品目(活性物質、製剤形態、強度に基づいて定義される)で、2023年秋にデンマーク医薬品庁と卸売業者Nomecoとの間で締結された備蓄契約の対象となる医薬品と同じである。 これらの医薬品のリストは、デンマークの行政命令No. 870 of 26 June 2024に記載されている。

 

ニュースソース

  1. Danish Medicines Agency: New regulations on Stockpiling of Critical Medicines effective on July 1 2024.
    https://laegemiddelstyrelsen.dk/en/news/2024/new-regulations-on-stockpiling-of-critical-medicines-effective-on-july-1-2024/
  2. 備蓄対象医薬品のリスト(デンマーク語)https://www.retsinformation.dk/eli/lta/2024/870

 

 

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2024年7月4日
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