欧州医薬品庁(European Medicines Agency:EMA)とEU医薬品規制首脳会議(Heads of Medicines Agencies:HMA)が2024年10月9日に発表したNetwork Strategy to 2028における医薬品供給Availability and supply of medicinesにおける記載は以下の通り。
(「EMA 医薬品戦略を更新」を参照のこと。https://www.pcubed.jp/medicine/20241013-1536/)
医薬品の供給と入手可能性
シェアされた責任
特に重篤な疾患や慢性疾患の治療に不可欠な医薬品が繰り返し不足することは、国民の健康を危険にさらし、規制制度に対する国民の信頼を損なう。
こうした品薄状態を防ぐことは、共通の責任である。品薄状態の管理とサプライチェーンの監督という役割において、規制当局は、EU域外で事業を展開している製造販売業者やメーカー、そして自国内での医薬品供給の保護に取り組んでいる国際パートナーと緊密に連携しなければならない。また、規制当局は、医師や薬剤師などの医療従事者、卸売業者、そして品薄状態の影響の管理に一役を担う患者とも緊密に連携しなければならない。
医薬品の供給改善に向けたネットワークの戦略には、品薄の根本原因を特定し、その防止と管理のための調和のとれた戦略を策定すること、品薄に効果的に対処するためのネットワーク内外の活動を調整すること、そしてサプライチェーンの監視と保護を強化することが含まれる。
動物用医薬品の供給
治療が必要な動物種の数が多く、医薬品の入手可能性がEU域内で変動しているという事実があるため、動物用医薬品の入手可能性を確保することは特に困難な課題である。動物衛生と動物と人間の健康の相互関係の重要性を踏まえ、ネットワークは動物用医薬品の入手可能性を妨げる特定の要因に対処する。
検査能力
今後、ネットワークには、規制検査手順に関連する法的義務を遂行するために、継続的に十分な数の訓練を受けた検査官を確保することが不可欠である。また、検査中に直面する可能性のある課題に対処できるよう、特にEU域外の異なる法的枠組みを持つ国々において、検査官を適切に訓練することも不可欠である。
供給と供給可能性の目標
公衆衛生と動物衛生を保護するための医薬品の供給可能性を強化する
- ヒト用および動物用医薬品の不足の具体的な根本原因を特定し、特に重要な医薬品について、不足の予防と管理を改善するための調和のとれた戦略を策定する
- 人用医薬品の供給改善に関する活動の調整を改善し、利害関係者および国際パートナーと協力してベストプラクティスを実施する
- 欧州委員会と協力し、備蓄を含め、人用医薬品に関する各国およびEUの戦略を調整し、各国の施策が他国の医薬品の供給に及ぼす可能性のある影響を低減する
- 医薬品の上市および品薄に関する透明性とコミュニケーションを、患者、医療従事者、HTA機関を含む関連する利害関係者との間で改善する
サプライチェーンの監視と保護を強化し、査察官の能力を高める
- 法的義務を遂行するために、十分な数の訓練を受けた査察官が継続的に確保されるようにする(ネットワークの持続可能性に関するセクションを参照)
- リスクに基づく査察計画、代替的な査察手法、国際パートナーとの連携を活用し、最終製品や原薬の製造業者を含め、サプライチェーンの監視をより的確に行う
- サプライチェーンにおける偽造医薬品の流入を防止するため、サプライチェーンの監視と監督を強化する
- 製造における技術進歩(デジタル、IA、その他の技術システムなど)を踏まえて、適正製造基準(GMP)要件を最新の状態に維持する。
- 現在のデータベース(EudraGMDPなど)の情報を改善し、相互にリンクさせる。