【続報】FDA、ハリケーンによる医薬品不足に対処するため緊急調剤ガイドラインを発行

2024年10月11日公開「米国ハリケーン「Helene」による輸液不足に対する病院の対処」で、米国における最近のハリケーンによる医薬品不足対応策を紹介したが、10月14日のRegulatory Affairs Professionals Society「Regulatory Focus」がその後のFDAの緊急調剤ガイドライン発行について以下のように伝えている1)。FDAによるガイダンスは10月11日公開2)。

10月10日、保健福祉省(Department of Health and Human Services :HHS)はハリケーンHeleneとMiltonの余波による公衆衛生上の緊急事態(Public health emergency :PHE)を宣言した。臨時ガイダンスの対象となる医薬品には、特定のブドウ糖、塩化ナトリウム、滅菌水、乳酸リンゲル、腹膜透析液が含まれる。 米国疾病管理予防センター(Disease Control and Prevention :CDC)によると、ハリケーン「ヘレンHelene」により、腹膜透析液および静脈注射液の最大手メーカーであるバクスター・インターナショナルのノースカロライナ州ノースコーブ施設が深刻な被害を受け、ヘルス・アラート・ネットワーク(Health Alert Network:HAN)勧告を発表するに至った。

Food, Drug, and Cosmetics (FD&C)法の下では、外注施設はFDAの医薬品不足リストにない医薬品の調合を制限されており、調合を行う施設はまず患者固有の処方箋を持つ必要がある。 また、施設はFDAに登録しなければならず、現行の適正製造基準(cGMP)を遵守していることを確認するため、FDAの検査官による監督を受ける。 しかし、ハリケーンによる危機的な医薬品不足を考慮し、規制当局は、一定の要件を満たせば、アウトソーシング施設として登録されていない調合業者が、供給不足の重要な医薬品を製造することを許可するよう、執行裁量権を行使する予定である。

FDAは、病院や医療システムに対し、最初の選択肢として外注施設から医薬品を入手することを奨励したが、最終的にはFDA認可の非経口用医薬品や同等の製品を外注施設から適切に供給してもらうことが困難になる可能性があることを認めた。一時的な措置として、FDAは、患者固有の処方箋なしに病院や医療システムに医薬品を調合したり、市販薬のコピーを製造するためのアウトソーシング施設として登録されていない州認可薬局に対する規制措置を控えると述べた。FDAはまた、承認された医薬品のコピーである調剤、FDAの503B Bulks Listにない原薬の使用、またはcGMP要件を満たしていない外注施設に対し、同様の要件に従うのであれば、一時的に強制措置は取らないとしている。

 

ニュースソース

  1. Regulatory Focus: FDA issues emergency compounding guidance to address drug shortages due to recent hurricanes.
    https://www.raps.org/news-and-articles/news-articles/2024/10/fda-issues-emergency-compounding-guidance-to-addre?mkt_tok=MjU5LVdMVS04MDkAAAGWK85xOfMc806HOFRNxf49dwkHHzCSWxmDBnEZ18mQoV63WAaPn3RXmyGpnCI_A3Na7bhkQSw3yRgTd4kV049S9qs_67y_MMqTYV7vXOEu
  2. Food and Drug Administration:GUIDANCE DOCUMENT-Temporary Policies for Compounding Certain Parenteral Drug Products.
    https://www.fda.gov/regulatory-information/search-fda-guidance-documents/temporary-policies-compounding-certain-parenteral-drug-products

 

キーワード
#ハリケーン
#自然災害による医薬品不足

2024年10月19日
このページの先頭へ戻る