オーストラリア治療用品管理局(Therapeutic Goods Administration:TGA)は、2019年1月の医薬品不足報告義務制度の導入後、毎年、報告書を公開している。2024年版の本報告書は、2024年7月公開されたもの。
報告書では、2020年以降の供給不足の管理方法の改善点が示されている。ポイントとして;
- より良い調整と協力
- コミュニケーション活動の増加
- ニュースソース
- 規制の改善
- データをより多く、より良く活用すること
また、医薬品不足が患者に与える影響、不足報告数などのデータが示されている。供給不足の報告数は、必ずしも供給不足の影響と相関するわけではない。供給不足の深刻さは、影響を受ける患者数、適切な代替品の入手可能性、患者を他の治療に切り替える際の複雑さ、関連するコスト、情報を入手し代替品にアクセスするタイミングなど、多くの要因に左右される。COVID-19パンデミック開始時の医薬品需要の増加により2020年4月に急増したことを除けば、スポンサーから報告された欠品の数は2019年の報告義務化以降、ほぼ一貫している。
一方、スポンサーは、自社製品の供給不足または供給中止がオーストラリア固有のものであるかどうかを明記する必要がある。スポンサーは、医薬品の不足は主にオーストラリア特有のものであることを示したが、オゼンピック(セマグルチド)、2023年の経口抗生物質の一部、バイバンセ(リスデキサムフェタミン)の不足のように、オーストラリアに特化していない不足(複数国での不足)は、スポンサーが他の市場からオーストラリアに在庫を振り向ける能力が限られている可能性があるため、管理はより困難であるとしている。
不足の理由として、最も多く報告されている欠品理由は製造上の問題である。2023年には、最初の報告から欠品理由の63%を占めている。製造上の問題は複雑で、輸送・物流の問題や消費者需要の増加による欠品に比べ、解決に時間がかかることがある。
その他、報告書では、スポンサーの製造中止への対応、ケーススタディとして、テネクテプラーゼ不足の対応が示されている。
ニュースソース
Therapeutic Goods Administration:Medicine Shortages Report 2024, Version 1.0, July 2024.
https://www.tga.gov.au/sites/default/files/2024-07/medicine-shortages-report-2024.pdf