【注目記事】米国薬局方(USP)は、不足しやすい脆弱な医薬品のリストを公表

米国薬局方(United States Pharmacopeia:USP)は、2025年3月4日、患者へのリスク低減とサプライチェーンの信頼性向上のための取り組みに役立てるため、脆弱性医薬品リスト(Vulnerable Medicines List :VML)を公表した。

「このリストは、FDAの必須医薬品リストなどの他のリソースを補完するものである。USPは、医薬品供給マップやその他のリソースを活用し、医薬品サプライチェーンの強靭性を強化するための対話と行動を促すために、脆弱な医薬品100品目(慢性疾患の管理に使用される49品目と急性期治療に使用される51品目)を特定した。 不足しやすい医薬品のリストを公開することで、関係者は医薬品サプライチェーンを患者にとってより信頼性の高いものにするために、より効果的に取り組むことができる」とする。

この報告書では、USPの医薬品供給マップから予測される供給不足リスクスコアを用いて、サプライチェーンの混乱に対する脆弱性を測定している。USPの供給不足リスクスコアで考慮される100以上の脆弱性要因には、製造の複雑さ、生産の地理的集中、供給不足の歴史、価格、その他の要因が含まれる。その結果、分析は次のことを示している;

  • 傷つきやすい薬の治療クラスで最も多いのは、疼痛管理、腫瘍学、病院向けソリューション、抗菌薬などである。 がん治療薬11品目のうち、1品目は慢性疾患治療薬(メトトレキサート注射剤)であり、10品目は急性疾患治療薬である。 これらの医薬品は、白血病、非ホジキンリンパ腫、その他のがんを含む疾患を治療する。
  • 2025年1月現在、リストに掲載されている医薬品の61%は不足していない。 医薬品が不足しやすいことを認識することで、脆弱性を緩和するための予防策を講じることができる。
  • 注射剤は脆弱性医薬品リストの大部分を占めており、全医薬品の71%を占めている。 塩化ナトリウム注射液、ブドウ糖注射液、ヘパリンナトリウム注射液、プロポフォール注射用乳剤、塩酸リドカイン注射液である;

 

「USPは今後も医薬品供給マップから得られる洞察を活用し、医薬品サプライチェーンを強化するための取り組みに役立てていく予定である。USPは、これらの洞察やその他の洞察を用いて、毎年医薬品不足レポートを発行してる。さらなるデータや洞察は今後数ヶ月のうちに発表される予定である。」とする。

 

ニュースソース

  1. United States Pharmacopeia:USP publishes Vulnerable Medicines List to inform efforts to reduce risk and increase supply chain reliability for patients.
    https://www.usp.org/news/usp-publishes-vulnerable-medicines-list-to-inform-efforts-to-reduce-risk-and-increase-supply-chain-reliability-for-patients#:~:text=The%20five%20drugs%20identified%20as,emulsion%2C%20and%20lidocaine%20hydrochloride%20injection.
  2. (報告書) 2024-2025 Vulnerable Medicines List for the United States: A data-based approach to identify risks and enable interventions to increase reliability of supply.
    https://www.usp.org/sites/default/files/usp/document/supply-chain/2024-2025_vulnerable-medicines-list.pdf

 

2025年3月7日