英国王立薬剤師会(Royal Pharmaceutical Society:RPS)は、2025年2月、「Workforce and Wellbeing Survey 2024」を発表した。この調査は、薬局従業員のメンタルヘルスとウェルビーイングを調査(WWB調査)し、従業員の業務環境改善を支援するプログラム開発を支援するもので、2019年から実施されている。うち、医薬品不足に関する記述の要約は以下の通り。
WWB調査(2024年)における医薬品不足の影響
- 医薬品不足が薬剤師と患者に与える影響
回答者の56%が、過去12か月以内に医薬品不足が自身の精神衛生と健康に影響を与えたと回答。
41%が、医薬品不足が患者を危険にさらしたと認識(36%が「わからない」、19%が「いいえ」)。
イングランド・ウェールズでは44%、スコットランドでは35%、**海外では13%**が医薬品不足が患者に危険を及ぼしたと回答。
**地域薬局(52%)や一般診療(47%)**では、病院薬局(34%)よりも高い割合で患者の危険性を指摘。
- 医薬品不足の具体的影響
回答(n=2304)から、以下の3つの主要テーマが抽出された。
(1) 患者への危害:医薬品不足は患者の安全性に直接影響し、衰弱状態や生命の危険を高める可能性。
例:
- 救命薬(抗生物質点眼薬)の供給遅延により、患者が適切な治療を受けられない。
- CF治療薬の不足により、乳児患者が治療を受けられない。
- 抗てんかん薬(テグレトール)の供給遅延で患者が危険にさらされる。
- 適切な抗菌薬が不足し、敗血症を発症する患者が発生。
- 投与経路の異なる代替薬の使用による合併症リスクや医療ミスの増加。
- 地域薬局で薬を入手できない患者が病院へ流入し、病院側の負担が増加。
(2) 症状の悪化・再発:医薬品が入手できないことにより、症状が悪化し、特に精神疾患患者に深刻な影響。
例:
- クエチアピン(精神疾患治療薬)の不足により、再発のリスクや患者のストレス増大。
- ADHD治療薬の不足が患者や家族に苦痛と精神的リスクをもたらす。
- 入院患者が必要な薬を確保できず、病状が悪化し退院計画が遅延。
(3) 生活の質の低下:薬剤不足による離脱症状や服用漏れが、患者の生活に大きな影響を及ぼす。
例:
- ADHD治療薬の不足により、家庭生活や教育への悪影響。
- ネブライザー・パブリネックスの不足で急性呼吸器疾患患者の治療が困難。
- 医薬品供給の遅れが不安や精神的負担を引き起こし、NHSへの不信感を助長。
まとめ
- 医薬品不足は、患者の健康に深刻なリスクをもたらし、特に救命薬や慢性疾患治療薬の不足が安全性、病状管理、生活の質に影響。
- 精神疾患・ADHD患者への影響が顕著で、症状の悪化や生活の質の低下を引き起こす。
- 地域薬局や一般診療での負担が大きく、患者の流れが病院に集中することで、医療システム全体への負荷が増加。
この調査結果は、医薬品供給の安定化が医療従事者の負担軽減と患者の安全確保に不可欠であることを示している。
ニュースソース
Royal Pharmaceutical Society:Workforce and Wellbeing Survey 2024
file:///C:/Users/SAKAMAKI/Desktop/RPS%202024%20Workforce%20Wellbeing%20Survey.pdf